小刀に登録証
先日手に入れた小刀(刃長12.9㎝)には登録証が付帯していた。
小刀には基本的に登録証は必要ありません(刃長15㎝以上、元重2.5㎜以上の大振りなものだけ登録証が必要)。
しかし現在では現在は5.5㎝以上の刀剣類には登録証を取る事が推奨されているらしい。(参考:つるぎの屋 日本刀の刀剣によくあるご質問)
推奨なので必須ではない。
しかし以下の写真を見て、左の小刀に銃砲刀剣類等登録証が付いていて、右の長く鋭利な包丁には特に何も付いていない。
これに対してきっと多くの人は少し違和感を感じないだろうか?
この違和感の正体は「小刀より包丁の方が危険ではないか?」という考えから来ていると思われる。おそらく。
きっとこのように感じた人は登録証という物が「刀=危険でヤバい物だから登録証が付いている」と誤解していないだろうか。
奇しくも「銃砲刀剣類等登録証」と銃と刀を同列で表記されているからか、刀の所持には免許が必要という誤解さえも生まれ、刀の危険物意識が助長されてしまっているようにも思う。
勿論刀は本来武器であるので危険ではないと言い張るつもりはないが、現実問題として銃には保管方法などの明確な管理規定があるが、刀にはそれがないなど、取扱が異なる以上は登録証を分けるなどして同列で語らない方が、先ほどの免許云々のような変な誤解が生まれづらくなり良いのではないかと思ってしまう。
この話は更に刀の登録証の歴史を辿ると分かりやすい。
登録証は危険だから付けているわけではなくむしろ逆、あくまでこれは美術的に価値のある物だから廃棄せずに残すべきものだ、と証明する証書である事が分かる。
だからこそ「銃砲刀剣類登録証」ではなく「銃砲登録証」と「美術刀剣登録証」などにそれぞれ名称を分けた方が良いと思うのです。
登録証の経緯については以前以下にまとめたのでご覧ください。
つまりそういう視点に立って考えると、この小刀に登録証を付けた人の心理が見えてくる気がする。
登録証を付ける必要はないが、あえて美術品として登録したのだろう。
しかし本当に小刀に登録証は必要だろうか?
登録証を付ける事で所有者変更届の手間が増えたり、海外に送る際も登録証の返還手続きなどが必要になる。
そして銃砲刀剣類登録証というなんか凄い危なそうな名前の登録証が付いている事で、「小刀=危険でヤバい物」と誤解する一般人がかえって増えないだろうか。(包丁は抵抗なく買うのに、小刀は買いづらいなど)
登録証を付けたからといって管理は結局個人にゆだねられる事になり誰かが丁寧に無くさず保管してくれるわけでもないので、様々な人が感覚的にも手に入れやすい状態をキープした方が良いのではないかと個人的には思ってしまいます。
というわけで私は小刀に登録証は付けなくて良いのでは派です。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)