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偉大な米刀剣コレクター「ウォルター・エイムズ・コンプトン」

アメリカの医学博士であり薬学研究者であったウォルター・エイムズ・コンプトン(以下コンプトン)氏は第二次世界大戦後の日本刀蒐集家として有名です。
鑑識眼鋭く、行方不明になった国宝級の刀剣を見つけ出し、日本へ無償返還などもしています。

①名刀もそうでない刀も数多くコレクション

プリンストン大学在学中にチャイナタウンで6ドルで刀を購入したところに始まります。
大学在学中に日本人と交流を持った事もあり、その頃から日本刀の研究に力を入れるようになったそうです。

その後は名刀もさることながら、そうでない刀も数多くコレクション。
当時アメリカには日本刀に関する資料が殆ど無かったことから、名刀の良さを知る為に、そうでない刀も蒐集して比較していたらしいです。
佐野美術館館長である渡邉妙子さんはコンプトン氏から「なぜ日本のコレクターは名刀しか集めないのか?」と聞かれ返答に窮した事があるそうです。(出典元:wiki

因みに収蔵数は500近くに上り、温湿度が自動調節できる部屋に21.1度、湿度50度で時代別で保管されていたという記録が残っています。
そしてコンプトン氏没後、クリスティーズ開催のオークションにてその内159振が競売にかけられます。
当時の最高額はオークションへの手数料込で約5600万円。相場よりも高いものでしたが、これはコンプトン氏所蔵というブランドが付いた為と考えられているようです。
尚、コレクションの内、指定品のみ列挙されたものがwikiにありました。

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(画像出典元:wikipedia

過去に刀剣博物館にも展示されていたようです。


因みにネットで探してみるとコンプトン旧蔵の刀は結構出てきました。



②集めた刀の一部を日本に無償返還

コンプトン氏はその後、名刀の所蔵に関して最善の状態で保存して、かつ美術的価値を活用しきる必要があると考え、備前三郎国宗をはじめ、刀7振を無償返還したようです。

特に国宗の話は有名。
この国宗は昭和2年に島津忠重が照国神社へ奉納した太刀でした。
しかし進駐軍により行われた刀狩りにより紛失。
それ以降行方不明になっていましたが、コンプトン氏がアトランタの古美術商で発見し買い取り、調査した結果その国宗である事が判明。
コンプトン氏は照国神社へこの太刀を無償返還しました。
(国宗は現在、鹿児島県歴史資料センター黎明館に収蔵)
その後、日本政府から勲四等旭日小綬章という勲章をもらっています。

鑑識眼だけでなく、そういった行動もコンプトン氏が賞賛されている要因の一つと思われます。

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(画像出典元:刀剣ファンを魅了 国宝「国宗」特別展示yahooニュース


③コンプトンコレクションに関する本3つ

名品を数多く所有していたコンプトン氏ですが、どんな刀をもっていたかが気になります。
という事でコレクションの一部をまとめた本があるようなので3冊紹介します。

・W.A.コンプトン博士 日本刀コレクション特別展

昭和45年に日刀保が実施した特別展の図録です。

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(画像出典元:WINNERS


・One Hundred Masterpieces from the Collection of Dr. Walter A. Compton

コンプトン氏コレクション100選のカタログです。

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(画像出典元:ヤフオク contact_13k

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(画像出典元:ヤフオク contact_13k

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(画像出典元:ヤフオク contact_13k


・Japanese Swords and Sword Fittings / Christie's

1992年クリステーズニューヨークで開催されたオークションカタログです。

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(画像出典元:Aucfee

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(画像出典元:Aucfee


④終わりに

日本刀の茎を切断するコレクターがいる一方で、コンプトン氏のように素晴らしいコレクターもいます。
国は関係なくまさに人それぞれ。
コンプトン氏のように沢山の刀は持てないにせよ、目の前の1振1振だけでも大切にしていきたいですね。
よろしければ対照的な以下の記事も合わせてご覧ください。


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