所有感が出てこない刀
何というか、いつも通りお金を出して買ったにも関わらず所持した感じがしない、自分のものになった感じがしない刀がある。
こんな感覚は初めての事で若干驚いている。
いや、日本刀を手に入れてもその長い歴史の中で一時預かっているだけなので正確には「自分の物になる」という表現も正しくないのかもしれないが。
それでも所有者変更届を出しているので一般的に見れば現在の所有者は自分自身である事は間違いない。
この刀も他の刀同様見ていると感動し引き込まれる。
綺麗と感じるだけでなくどこか自身の琴線に触れる刀。
だから購入に至ったわけであるが…。
直刃調の匂出来で匂口が締まり全体的に落ち着いた印象の無銘刀。
静か動かで言えば完全に静。
そのため目が疲れている時に見ると特に目が休まる。気がする。
今思えばこの刀を初めて見た時は圧倒されて、初め見た記憶とだいぶ異なった見え方をしていた事に気が付く。
例えるなら、以下の1枚目の写真のように映りが鎬筋あたりを境に出ていると記憶していたが、実際は2枚目のような映りで間違って見えていた感じ。
刃中は大人しく金筋や砂流しなどは無いので、相州伝の刀と比較しても比較的記憶しやすい刀(複雑でない刀)な気がするが、それでも3回位見てようやく全体像が頭に入ってきた記憶がある。
恐らくその位に圧倒されていて見ているようで見ていなかったのだろう。
今は見慣れて圧倒される事は無くなったものの、それでも引き込まれ方がやはり凄い。
「ぬわっ」と来る感じ。この表現だと全く伝わらないと思うが…。
なので地刃の働きが盛んであろうがなかろうが、圧倒される時は圧倒されるし、そこはあまり関係が無いのかもしれない。
こんな感じで今でも見ていて良いなと思いつつもどこかで借り物感が凄い。
もう少し所持していれば他の刀同様所有感が出てくるのだろうか。
とにかくこんな感覚は初めての事で驚いている。
色々な刀があるものだなぁ。。
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