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猫モチーフの刀装具がとにかく無い…!

鐔や小柄、笄、縁頭など日本刀の拵に付ける刀装具は植物、動物、人物、文字など様々なデザインが作られており、大体網羅されている気がします。
動物であれば干支に出てくるものは勿論全て作られているし、キツネやタヌキ、獏なども作られています。
流石に首の長いキリンなどは明治以降に日本に来ているのでそうした物は勿論作られていませんが。
しかし古くから日本人の傍にいた動物にも関わらず殆ど刀装具にデザインされていない動物が。
それが「猫」なのです。

試しに「刀装具 猫」、「鐔 猫」などと検索してみてほしいですが、現代のものを除いて、古い物は殆ど出てきません。

猫好きとしては実に残念。
一方で猫っぽい虎は時々見ます。

猫ではなく「竹に虎」図

これは虎という生き物を見た事がなく、猫をベースに想像で描いているから、とも言われています。(参考:美術評論+

ではなぜ猫そのものをテーマにした刀装具だけこんなに見ないのか。
江戸時代頃に描かれた猫の絵はそれこそ調べれば沢山出てくるし、以下を見ると歌川広重(1797~1858年)なども浮世絵に猫を描いています。

猫が特段庶民から嫌われていた様子は伺えません。
という事は武士にとって好ましくないイメージが何かあったのでしょうか。
(逃げ足が早いなど…分かりませんが。)

なぜここまで猫をモチーフにした刀装具が作られていないのでしょう?
しかし1点だけ春日大社の国宝の拵に雀を捉える猫がデザインされているものがあります。実物は未見ですが。
900年前の平安時代に奉納されたと言われているものです。

金地螺鈿毛抜形太刀 春日大社蔵(画像出典:サライ.jp
地螺鈿毛抜形太刀 春日大社蔵(画像出典:サライ.jp

こちらの記事を読んでいると、熱心な猫好きとして、宇多天皇に一条天皇、豊臣秀吉、篤姫…と書いてありました。
秀吉が好きなのであれば拵にもっと用いていても良さそうなものですが…。


とかれこれ探していますが、もうとにかく猫をモチーフにした古い刀装具が無いのです。
何ならまだ一度も実物を見た事がありません。

あれだけ可愛い猫です。
猫をこよなく愛し、猫をモチーフにした一作拵を身に付けた猫侍はいなかったのでしょうかね。(そういえば昔、「猫侍」という映画がありましたね)

(C)2014「猫侍」製作委員会


猫の刀装具が無い理由を探っていくと何かしら武士にまつわる面白そうな文化が見つかりそうな気もしていますがどうでしょうか。

因みに現代の装剣金工家である片山さんは猫が好きで作られていますが、「そう!これ~っ!」と思えるほどとても良いのです!


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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