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アルファベット鐔?

先日少し変わった鐔を発見。
直径7㎝、厚み8㎜ほど、蓋のような形状をして頂点部には紐を通せるようなフックが取り付けられている物に、茎孔と櫃孔が開けられ鐔のようになっている。

鐔というよりは何かの工業製品を変わり者が鐔に仕立て直して見に付けていたと見た方が良いかもしれない。

鐔として使用するには蓋のような形状ゆえに手の甲への当たりが痛く実用にも疑問が生じる故、刀を使う必要があまり無かった時代のものではないかとも推測している。

そしてフック部が上になるようにして中心線を引いてみると、茎孔が少し斜めになっている事が伺える。
適当にあけたのかそれともフック部が少し邪魔で角度を付けたのか。


鐔の表面には読めない文字が多いが、「DROOG」や「LANG」という文字が見て取れる。
これはオランダ語で「乾いた」や「長い」という意味らしい。
LANGという文字の下に「1/2」という数字が見えており、これは何かの長さを示しているようにも感じる。
他にも「DOO●MYS●L●S」など文字がつぶれて解読出来ない箇所があり、この蓋のような物がもともとどのような用途で使用されていたものなのか分からない。
星のようなマークは何か会社や組織などのロゴ的な物なのだろうか。


日本とオランダの貿易は1600年に豊後国臼杵(現大分県臼杵市)の海岸に漂着したオランダ船リーフデ号をきっかけに始まったという。(参考:江戸時代の日蘭交流

そして大体この頃か、江戸初期の平戸国重の作にはアルファベットを鐔に刻印したものが現存しており、オランダとの交流を匂わせるものが現存している。

画像出典:葵美術


今回の鉄鐔についても当時のものなのか、それとももっと時代が下がり19世紀頃のものなのかはよく分からない。
文字の解読が時代特定に一番繋がるような気もしており、オランダの歴史などについても時間をかけて調べてみようと思います。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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