もしも、に備える日本刀の「保険」
強盗、傷害、殺人…最近のニュースを見ていると実に日本が物騒になってきたのを感じます。
先月は合計2000万円相当の日本刀7振が刀箪笥ごと盗まれるというニュースも報道されていました。
日本刀は登録証も付いており、ある程度足が付きやすく売りづらいという一面がありますが、それでも足を付けずに売り捌く方法もまたあるでしょう。
大事なことは盗まれないように家のドアや窓を施錠したり、刀を管理する事ですが、ガラスを割られて入ってこられたりというイレギュラーな事態全て対応するのはなかなか非現実的だと思います。
しかし今後数年は日本が今よりも豊かになる可能性はほぼなく、これから犯罪がますます増えていくのは火を見るよりも明らかです。
また盗難でなくとも、火事などにより刀が焼けてしまうと刃文や地鉄など従来の美しさは一切なくなり、それと共に美術品としての価値も殆ど無くなります。刃文が無くなるので研いでも元の状態に戻す事は出来なくなります。
窃盗や火事で大事にしていた刀や刀装具が無くなるのは勿論辛い事ですし、火事などの場合は何百年と続いた刀の長い歴史を自分の手元で失わせてしまう事にもなりとても残念ですが、それに加えてそこに掛けたお金がまるまる消えてしまうのもまたとても辛い事だと思います。
せめて掛けたお金だけは取り戻したい…そんな非常事態を保証してくれるのが、今回紹介する火災保険の「明記物件」です。
①火災保険で家財保険に入っているから刀も保証される?
→いえ、保証されません。
家財保険は家具、家電、衣類、寝具などの家財に損害があった際に保険金を受け取れますが、家財のうち30万円を超える(100万円以上の所もある)「明記物件」と呼ばれるものに限っては、あらかじめ契約時に保険申込書で保険会社に申告していないと、補償の対象には含まれないことになっています。
宝石や絵、骨董品など金額査定が難しいものは明記物件に該当します。
つまり家財保険に入っているからと安心していると、いざという時に保険金を受け取れなかった…という事態になってしまうことになります。
②明記物件が火災や盗難にあった場合
保険会社立ち合いのもと確認となりますが、概ね全額払われるそうです。
例えば300万円で買った日本刀を明記物件で申請してその刀が火災や盗難にあった場合、300万円が保険会社から支払われます。
他にも例えば刀を落として刀身を傷付けてしまったりなど、そうした不測の事故も保証してくれます。
その場合も都度保険会社立ち合いのもと保険額を査定するので、その場合は流石に全額というわけではなく、研ぎ代だけという事にはなるかもしれません。(しかし、日常の管理不手際により錆びてしまったなどの場合は当然保証されません)
そして最も注意しなければならないのが、地震は保証されないという点です。これは、地震が原因で起きた火災も保証されない、という事です。
その為、広範囲で大地震が起きた場合は全て地震が原因と見なされる可能性もあり、ここは揉めそうなところにも思います。
最近特に地震が頻発しているので地震からも保証してほしいものですが、無いものは仕方がありません。
③明記物件は1点1点加入が必要
刀ABCの3つをまとめて入れるものではなく、1つずつAはいくら、Bはいくら、Cは…と申請して加入します。
当たり前ですが保険金額は物の価格が高ければ高いほど高くなります。
また、例えば刀Aを売って手元から無くなった場合などは、保険会社へ連絡して刀Aだけ保険の対象から抜いてもらう必要があります。
保険金額が変わる為です。
④終わりに
以上が、もしもに備える刀の保険です。
私は最近の時勢を考慮し入りましたが、入るべきか入らないべきか、正解は勿論ありません。
あくまでリスクをどう捉えるかですので。
尚、冒頭にも書きましたが、保険へ加入される際は保険会社によく内容を確認してから加入されてください。
当然ですが私は責任を負えません。
今回も読んで下さりありがとうございました!
面白かった方はいいねを押して頂けると嬉しいです^^
記事更新の励みになります。
それでは皆様良き御刀ライフを~!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑