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おすすめ刀剣本⑧ 歴史上初の「刀掛」の図録

歴史上おそらく初となる刀掛けにフォーカスした図録が伊藤満さんより限定500部で出版されました。
実はこの図録、少し前に目白にある刀屋さん(飯田高遠堂さん)を訪れた時に、今度こんな図録が出るよ~と教えて下さってからというもの、心待ちにしていた1冊でした。


刀の図録や刀装具の図録は数多くあれど、刀掛けの図録は過去を見ても無いのではないでしょうか。
同梱されていたペラ紙を見ると、「刀掛は、刀剣に関わる重要な道具であるにもかかわらず、近年の刀掛に関する論文は、「刀剣美術」誌に2本あるのみで、拵や刀装具とは違い、これまで研究や調査はほとんどされてきませんでした。(以下略)」とあります。

また同紙には以下とも書いてあります。
「この図録は大名家伝来の作品を調査し、比較検討して刀掛の発生と当時の正式な用途を解明し、また整理分類して一冊の本にまとめました。

著者である伊藤満さんのfacebookページを見ると、「昨年から今年の2月まで、南は熊本の八代から北は東北の白河まで、20箇所以上に出向いて撮影をした」と書かれています。
また琉球漆器との関係性なども新たに分かった事を1冊の本にまとめられているようです。

「刀掛は、刀剣に関わる重要な道具であるにもかかわらず、近年の刀掛に関する論文は、「刀剣美術」誌に2本あるのみで、拵や刀装具とは違い、これまで研究や調査はほとんどされてきませんでした。 最も古い文献は江戸時代の「刀剣図考」で、僅かな記述と2点...

Posted by 伊藤 満 on Friday, October 20, 2023


以下のような高繊細な写真と共に、なんと「213」もの刀掛けが掲載されています!
(秀吉所用、家康所用、徳川本家、尾張家、紀州家、水戸家、細川家、毛利家、黒田家、松浦家、島津家、前田家、井伊家、松井家、真田家、酒井家、安部家や有栖川宮家などの伝来品など)

たまらん…たまらん…ニヤケが止まらん…


・どこで買える?

こちらの図録ですが、本ブログ執筆現在は私が把握している所ですと、著者である伊藤満さんに直接お問い合わせしての購入となります。
興味ある方は以下から直接問い合わせされてみては如何でしょうか。



・終わりに

個人的にも刀掛けは大好きで刀剣文化を象徴するアイテムではないかと感じています。故に日本刀は刀身と拵、刀掛けが揃って初めて完成なのではないか、とすら思っています。
刀の展示ケースを作っている身として、刀掛けほどに刀と調和の取れたものを作れる気がせず、とは言ってもそうした調和する物を作る事が目標ですので、感性を高める為にも先日刀掛けを買ったばかりですが、やはりそのもの自体にも風情や味わいがあり見ていて飽きません。

胡粉を盛り上げて菊を描き、左には透かしが入っています。
裏には梅?の花が描かれています。季節ごとに表裏変えて楽しんだのだろうか。
上下前後に計4振掛ける事が可能。

日本刀文化には欠かせない刀掛けの図録、興味ある方は是非手に取られてみてはいかがでしょうか。
個人的には鐔の透かし紋様の謎がこの本のお陰で解けたというのもあり、これはまた後日ブログにまとめようと思います。
色々と繋がっていて面白いですね。
繋がるからこその「文化」なのかもしれませんが。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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