刀展示ケースmokuの進捗②
何気に一番製作期間の長くなってしまった木を主体にした展示ケースの「moku」。
最初は海外の方からの要望もあり、3振飾れるものを作ろうと考えていました。
が、どうしても複数の刀を一つの展示ケースに飾ると、1振あたりの特別感や高級感が薄くなってしまう。
そして何より、刀には一つとして同じ世界観が無いので、時代や刀に現れる表情といった様々な世界観がごちゃ混ぜになると美しくないように感じる。
例えるなら、以下のように複数の展示品を飾るよりも、
(画像転載元:オーストラリア留学センター)
以下のように作品1つを強調させた見せ方に個人的には美しさを感じる。
(画像転載元:旅ぐるたび)
そんな事もあり、3振飾れるものを設計が完了するまで進めていたものの、どこか心の中にモヤモヤが最後まで払拭できないでいた。
そのタイミングで閃きが起こり、今までの半年間を捨てて作り直しを決意。
その時の様子が以下。
構成から材料から全て見直すことにしました。
掛かるコストもかなり上がってしまうけどどうせなら他の人が簡単に作れないオリジナル感のあるものを作りたい。
具現化する為の具体的なアイデアはこの時点では無かったものの、それから連日考え続け、1ヶ月くらいかけようやく方向性が固まってきました。
とはいえ、材料や構成、サイズ感なども全部見直す事になったので関係者の方には相当迷惑をお掛けしたことと思います。本当に申し訳ないです。
まず材料は桧を主に構成する事にしました。
桧は調湿効果が優れています。
刀を桧で包むようなイメージでしょうか。
あの匂いも良いですよね。触覚や嗅覚といった、視覚以外も楽しめる展示ケースになると思います。
次に構成面。
ドアは横開きから上部に開くようにしました。
横長ケースの形状で横開きにするとドア開時の垂れが深刻になり、根本への負荷も相当なものになります。
なので長辺を軸にする必要があります。
次に下開きにするか上開きにするかですが、このケースは壁にかける事を想定して作っているので、下開きにすると、刀を取り出す時にドアが出っ張り邪魔をするので刀に手が届きにくくなること(刀を取り出しにくいと刀身を傷つける可能性がある)、ケースを施錠する際に鍵位置が高くなり、手が届きづらくなる事が想定されました。
そう考えると上開きの方が良さそうです。
但し上開きにする場合は注意が必要です。
ドアが落ちてないように開けた時にロックが掛かる事、閉める時も仮に手を離してもゆっくり閉まるようにしないといけません。
「バンッ!」とドアが閉まって刀身に衝撃が加わるとヒケ疵などの原因となるかもしれない為です。
その為、ロックが出来てかつソフトクロージングするタイプのステーを採用しました。
実際にサンプルに付けるとこんな感じです。
そしてそこからまたいじり、完成した最終モデルがこちら。
デザインは抜いているのであくまで形状です。
実際の完成イメージの印象はガラリと変わると思います。
刀鑑賞に適したライトも付ける予定です。
あと今回はミュージアムアクリルを使う予定です。これにより反射がかなり抑えられるのでより刀身に集中出来るようになるはず。
一番右が通常のアクリルで、一番左がミュージアムアクリルです。
耐電もしづらいので、埃が付きにくいというメリットもあります。
あと硬度も高くキズが付きづらい、紫外線99%カットというメリットもあります。
デメリットで言えば、アクリルの4倍近い値段、かつ扱っている所が限られる(汎用品で無い)という事でしょうか。
という事で、10か月という長きに渡ったこの展示ケースmoku、完成は7月末~8月初め頃を予定しています。
実は7/28~8/2にまたデパートで展示会を出来るかもしれず、タイミングが合えばそこでお披露目出来ると嬉しく思っています。
(上手くいけば…ですが)
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