目釘孔が丸くなった理由について考える
刀にあいている目釘孔はいびつな形から段々と正円に変化していきます。
例えば鎌倉時代など古い時代は下の写真のように綺麗な丸ではなく少しいびつな丸になっています。
これは目釘孔を鏨で両側から叩き開けていた為です。
他にも猪の目や瓢箪などいろいろな形があるそうですが、基本的には丸のようです。
そして新刀の時代になると、綺麗な丸になります。
轆轤(ろくろ)機械が作られた為です。
刀の目釘孔も以下の様な轆轤を使う事で綺麗な丸が空けられるようになったといいます。(以下は参考図なので実際の機械とは違うかもしれません)
(画像転載元:轆轤)
・ところでなんで目釘孔は丸なの?
さて、いびつな形でも丸穴を意識して作られてきたのが特徴ですが、なぜ四角ではなく丸だったのでしょうか?
日本刀は武器である事から、使う時に丸穴の方が都合が良いからと考える事が自然な気がしますが、その場合どう都合が良いのでしょうか?
①掛かる力を全周で受けられる?
・目釘孔と目釘が丁度良いサイズの場合
以下のように角穴だと4点接地になりますが、丸穴だと全周が接地する事になります。刀に衝撃が加わった際に、全周が接地していた方が力が逃げ目釘への負担が少なくなると考えられそうです。
・次に目釘孔に対して目釘が小さい場合
目釘孔に対して目釘が必ずしもぴったりいかないかもしれません。
その場合は鍔や切羽などで位置を調整していた気もしますが、その場合、以下のように接地点が変わります。
角穴の場合は、必ず1点か2点が接地します。
対して、丸穴の場合は必ず1点が接地します。
これはどちらが良さそう、などはなさそうですので、視点を変えてみます。
②茎側が破損しづらい?
いきなりですが問題です。
Q:先端に人が立った時に根本が折れやすいのはどちらでしょう?
まぁ感覚で分かる人も多いと思うのですが、Aの方が折れやすいです。
角部に応力が集中するからですね。
なので例えば、飛び込み台もBのような形状になっています。
茎は厚みもあるのでそこまで心配する事もないかもしれませんが、構造的には以下のように亀裂が入りやすくなることは確かです。
激しい実戦を想定して、極力強くしたのかもしれません。
以上から考えるとやはり掛かる力を分散させて丈夫にするには四角よりも丸の方が適していたのかもしれません。
因みに丸は丸でも重なって雪だるまのようになったのもあります。
これをそのまま「ダルマ」と呼んでいます。
当時は拵えの方が貴重だったので茎側を合わせたのだとか。
今とは逆ですね。
削った分だけ当然強度は落ちるわけですが、それでも大した問題はなかったのかもしれません。もしくはそこまで苛烈な戦いをする環境にいない、いわば大将クラスの人が持っていたのかもしれませんね。
まぁ妄想の粋を出ないわけですが。
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