刀装具について無知の時に買った鐔
確か5年程前の2019年頃だっただろうか。大刀剣市で買った鐔がある。
元々はプレゼントとして妻に渡していた鐔だったが、引っ越しの際に「無くすと悪いから渡しておくね^^」と遠巻きに返品されて以降棚の奥にしまっていた。
5年前というと刀装具の知識は皆無も皆無。
金工の名前を誰も知らない時期、と言えば分かりやすいだろうか。
今日刀装具を整理していたところその鐔が出てきたので改めて見てみる。
あれから刀装具も色々と実際に買って見て手元でじっくり観察したり、刀屋さんや鑑賞会で名品を見せて頂いたりなどした事で当時から比べれば知識も初心者を脱する位には付いた気がしている。
さて当時買った鐔が以下の貝づくし鐔で、値段は確か3.5万円だったと思う。
横56.4×縦64.4×耳厚4.5㎜
鉄の鍛えはお世辞にも良くなく、表面が砂の様に細かい粒子が感じられるなど鋳造感がある。白くなっている部分は錆が取れているわけだが、これは鐔が若い事を証明している。(錆が定着していない為)
貝は金、銀、素銅、四分一を用いてそれぞれのパーツを作り、鐔にはめ込んでいるように見える。(色絵ではなさそう)
こう見ると、鉄地は良くないが貝は丁寧に作り込まれていて好感が持てる。
まぁとはいえ入念作といえばそうでもなく、どちからといえばお土産物に近い印象を鐔から受ける。
時代は江戸後期、幕末あたりだろうか。
先に書いたように古さは感じない。
趣向と外れるので今見ても買う事はないが、買うとしたら1万円位だろうか。
しかしこれはこれで当時の事を思い出して少し心が温かくなった。
当時この鐔を見て「綺麗…」位にしか感じなかった状態から思えば、少しは成長できているだろうか。
この5年での成長を自覚する為の金額、と考えれば安い買い物だったかもしれない。
因みに刀装具の値段の高い安いというのは3万円だから安い、100万円だから高い、という金額的なものではなくて、3万円には3万円の出来、100万円には100万円の出来が求められ、それに到達していなければ高いし、それを越えていれば安く感じるといった具合。
他にもその鐔を通して誰かとの縁があったなどの付加価値が加われば安く感じるかもしれない。
勿論これは1人1人が感じる主観なのである人にとっては安いし、ある人にとっては高い、となる。
故に今まで買った刀装具でこれは高い買い物をしてしまったと感じるものはこうした数万円の鐔からでも感じてしまうのが現状。
そしてそれに加えて自分自身の趣味の変化も相まり、トータルで買って良かったどうかは買って暫くしてみないと分からないのは刀と同じでまた辛いところ。
今回の鐔については後悔は全くないものの、最近は感動が得られなくなった作は自分の中で吸収し終えたと判断して、次の刀装具を買う為の資金に充てようと切り替えている今日この頃です。
あ、ちなみに今回の鐔、実は刀剣ワールドさんのモチーフになっている所載品といえば所載品です。笑
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それでは皆様良き刀ライフを!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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