華やかな刃文の「一文字」
日本刀で「一文字(いちもんじ)」というと有名ですが、一文字という名の通り、銘に「一」とだけ刻まれています。(古一文字などは個銘が書かれていたりもする)
一文字は日本刀の中でも最も華やかな刃文を焼く刀工群とも言われていますが、一文字と言っても福岡一文字、吉岡一文字、片山一文字、鎌倉一文字…など沢山あり、私も良くごちゃごちゃになるので、この辺り整理出来ればと思います。
①一文字の意味
「天下一」という意味を込めて「一」と入っているそう。
鎌倉時代から南北朝時代にかけて備前で栄えた一大流派です。
②一文字は大きく分けて3つ
刀工の居住地や作風により「福岡一文字、吉岡一文字、片山一文字」に分けられます。
・福岡一文字
3つの中で最も古いのが福岡一文字。
この中で鎌倉初期の刀工を「古一文字」、鎌倉中期以降の刀工を「福岡一文字」として分けています。
則宗が祖とされています。
古一文字はそうでもないのですが、福岡一文字になると一気に華やかな作風となります。
代表刀工
古一文字 :則宗、助包など
福岡一文字:吉房、助真など
(助真は後に幕府に招かれて鎌倉に移住しているので、鎌倉一文字などとも呼ばれています)
(画像転載元:Yuhindo 古一文字貞真)
(国宝:福岡一文字吉房 号:岡田切)
(刀剣博物館所蔵:助真)
・吉岡一文字
鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて備前の吉岡という場所で栄えた流派です。
福岡一文字の助宗が吉岡に移住して祖となったので福岡一文字から派生したとも考えられます。
私自身あまり作を見た事が無いので分かりませんが、一般的には福岡一文字よりも刃の焼きが低く、小丁子となったり、直刃なども見られるそうです。
代表刀工
助吉、助光、助義など
(画像転載元:Yuhindo 吉岡一文字)
・片山一文字
福岡一文字の則房が備前の片山という場所へ移住した事が始まりとされています。
則房は薙刀の名手だったらしく、無銘の薙刀や薙刀直しは片山一文字に極められる事が多いそうですよ。
代表刀工
則房など
(画像転載元:つるぎの屋 一文字則房)
③終わりに
福岡、吉岡、片山…色々な一文字があり混乱したかと思いますが、とりあえず福岡一文字が一番大元で、そこから派生したのが吉岡一文字と片山一文字という事だけ抑えておけば取りあえず良いのかもしれません。
話題は変わりますが、るろうに剣心など好きな方は「菊一文字則宗」という名前を聞いたことがあるかもしれません。
菊一文字とは鎌倉時代に入れられた16弁の菊紋(後鳥羽上皇により使用を許されたものしか使えない)と合わせて「一」という銘が入っている刀の事をこう呼んでいます。
ただ則宗の作で菊紋が入った物は現存していない為、実は「菊一文字則宗」は実在しません。因みに則宗は「一」とは刻まず、「則宗」と入れています。
吉房以降の一文字の刃文は本当に華やかです。
そこに映りが合わさって何とも言えぬ躍動感、力強さに溢れた作です。
手に取る機会があれば是非その力強さを体感してみてください^^
(画像転載元:Yuhindo 伝一文字)
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