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大刀剣市2023のカタログで気になった品など

昨日こちらのサイトにて11/18~11/19に東京美術倶楽部にて予定されている「大刀剣市2023」のカタログが掲載されました。
お店が出店予定の名品が数多く掲載されている事もあり、カタログというよりも販売されている「名品図録」と言った方がしっくりくるかもしれません。
私自身もこのカタログが発行されるのをいまかいまかと待ち望んでいた1人です!

という事で今回も金額気にせず早速個人的に気になった刀や刀装具についてメモしていこうと思います。尚、個人的な趣味嗜好の元に書いています。
古刀好きなので古刀ばかりになるかもしれません。

尚、掲載品でも会期前に売れてしまう物もあり当日展示されない場合もあるので気になる刀なり刀装具がある人は早めに問い合わせた方が良いかもしれません。

大刀剣市2023のカタログはこちらから見れます。
という事でさっそく。
「No.〇」はカタログ掲載番号になります。


①No1 短刀 則重

以下の丸英刀剣さんのサイトに押形と共に詳細写真が掲載されているが、非常に大きな太い地景がうねる様に入っており、それが刃中にまで絡む様子が写真からも伺える。棟側からの写真が無く状態などは写真からは分かりづらいものの、解説を読むと保存状態が頗る良いと書いてあるので研ぎ減りも殆どなさそうな様子。
鎌倉時代の短刀が良くここまで健全な状態で残った物かと驚かされる1振。サイトを見ると既に「商談中」の文字が。流石目を付ける人は早い。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


③No16 太刀 来国俊

来国俊の生ぶ在銘品。しかも目釘孔1。
来国俊とは名刀の代名詞とも言える刀工で古来より珍重されてきたため在銘作も比較的多く残っているものの、生在銘で目釘孔1はかなり珍しいと思われる。
こちらもカタログの写真では状態まで分からないが、姿だけ言えば重文や国宝クラスの姿をしている。
それでいて重要刀剣というのが驚きの点でもある。まだ世に出てきたばかりで特重審査を受けていないのか、それとも地刃に何かしらあるのか。
しかしあまり減っていないようにも見え名刀オーラが凄い。
ぜひ手に取って拝見したい一振。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


④No21 刀(金象嵌銘)青江恒次

地鉄があまりにも精美なのが写真から伝わってくる。
一見直ぐ刃に見えるが、よく見ると逆がかった刃も見え、もしかすると刃取りで直刃っぽく見せているだけなのかもしれない。
大摺り上げなものの反りの深い格調高い姿をしており、帽子もたっぷりと残っていて健全さが伺える。
恐らくかなり重量のある刀と思われる。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)

⑤No26 兜 鉄黒漆塗三十四間星兜鉢

南北朝期の兜との事。
刀装具で南北朝頃の物は殆ど残っていないので兜でその時代の物が残っているのもやはりかなり凄いことなのではないだろうか。詳しくないので分からないが。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)

元は以下のような感じだったのだろうか。

(画像出典:ひょうご歴史ステーション


⑥No37 太刀 大野義光作之(山鳥毛写し)

無鑑査刀匠(刀匠の最高位)である大野刀匠は山鳥毛写しも多数作られている印象があり、私自身はまだ3振程度しか見た事がないが、全て完成度が高かった。
こちらの太刀もとても覇気がありそうな1振かつ、山鳥毛ファンには家宝になりそうな1振。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


⑦N047 短刀 備前国住長船源兵衛尉祐定

数ある祐定の中でも与三左衛門、源兵衛尉、彦兵衛が技量も高い事で有名。
この短刀は源兵衛尉祐定の年紀入り鎧通しと思われます。
棟側の写真が無いのであくまで姿からの予想ではありますが。
綺麗に練られた地鉄に研ぎ減りの見られない倶利伽羅龍を紋様のようにアレンジしたような刀身彫。
特保という事で値段的にもそこまで高くない(カタログの中では)可能性のある1振。
こちらも手に取って拝見したい1振。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)

⑧No49 鐔 鏡師 双雀菊水図

鏡師の作は鋳造により作られているため鋳造回数が増えたりすると型が摩耗して紋様がなだらかになっていくという事を聞いた事があるが、こちらの鐔は紋様がはっきり出ている点が魅力的に思えた。
茎孔の周りを見ると鏡を直した物である可能性が高そうに思える。
櫃孔は後世に追加で開けたものだろうか。
無垢か、2枚合わせor3枚合わせなのか、裏は平らなのかも見たい所。
時代でいえば室町頃だろうか。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


⑨No78 拵 飾太刀拵(後陽成天皇御佩用)

天皇佩刀の拵が出るのかという衝撃がまず1つ。もはや御物ではないのか。
お店にて実物を拝見したが、螺鈿にしても金具の細工1つを見ても実に細かく丁寧に作り込まれており、格調が頗る頗る高い。
正直お店で拝見した時も直視出来なかった。
拵の本を見ていると度々登場する気がする。
せめて買って手元に置く夢だけでも見たい。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


⑩No79 太刀 吉光(伝千手院)

千手院吉光の生ぶ在銘。
非常に長寸に見える。奉納刀か何かだろうか。
茎も手を加えられたような形跡がなくそのままの姿で残っているのが非常に魅力的。護摩箸樋が刀身全体の姿を更に上品にしている気がする。
こちらも特重かと思い見たら重要刀剣。
是非手に取って拝見したい1振。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)

⑪No106 鐔 無銘林又七 鶴丸透

鶴丸透は肥後の他、京や赤坂鐔でも見られ、非常に人気の題材。
中でも又七の鶴丸透は人気と思われるが、その又七の極めの付いた1つ。
正直肥後鐔について詳しくもなく、どこから又七と極められるのかについても分からない状況ではあるが、だからこそそういった点をお店の方に聞きながら実物を見て勉強してみたいところ。
この構図の物は個人的にも好きでありいつか1枚欲しい。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


⑫No109 太刀 長則

名刀の多い上杉家伝来の1振。吉井長則だろうか。
雉股、京反りのような古雅な姿をしているように見える事から時代も古く見える。物打ちあたりに埋金らしきものも見えるが、それ以上に映りもかなり鮮明そうである。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)

⑬No115 短刀 無銘 高木貞宗

いわゆる南北朝の短刀姿に相州伝っぽい地鉄をしている。
高木貞宗と相州貞宗の違いが私には分からないが、姿や彫り物からも相州貞宗と似ているようにも見えきになる一振。

(画像出典:大刀剣市2023カタログより)


・終わりに

ということで気になった品を書いてみました。
結論、カタログ見ながら妄想にふけっている時が一番面白いですね。
大刀剣市のカタログはネットで見れますが、チケット付きの本も全刀商さんのサイト刀剣徳川さんなどから購入できます。
全刀商さんは電話での受付のみであることや、現金書留や代金同額の切手での購入など面倒なので、刀剣徳川さんの方が良いかもしれません。

後は刀屋さんへ直接行かれる方であればお店で聞いてみると扱っているかもしれません。
今回の大刀剣市も名品が多く並びそうで楽しみです!


・刀箱師の大刀剣市2023出展について

今年は霜剣堂さんのブース内にて出展させて頂く予定です。
詳細は以下をご覧ください。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。

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