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現代刀の偽物が出回っているようです

虎徹の刀が100振あったら本物は1振と言われるように、長い歴史の中で偽物も沢山作られてきたのが日本刀ですが、昔の刀に限らず現代作られている存命の方の作まで偽物が出回っているようで、先日以下の注意喚起が飯田高遠堂さんのサイトにアップされました。

どうやら無鑑査刀匠(現代刀匠の最高位)の河内國平さんの贋作が出回っているようです。
明らかな贋作銘は以下3点が現状確認されているとの事です。

・刀 銘 於よしの国平造之
・太刀 銘 朝夏霞 国平製平成二二年好日
・刀 銘 河内国平作 昭和乙卯年立春吉日


河内刀匠より過去に製作した作品に関しては詳細な控えが手元に存在するということで、真偽を確認したい場合は shikumi1@gmail.com 河内晋平氏まで問い合わせを行えば回答をしていただけるとのことです。
(引用元:飯田高遠堂「現代刀の贋作流通について注意」より)

無鑑査刀匠の刀になると500万円以上の値段(若手の方への注文打ちの金額の3~4倍以上)で販売されることも多く、またまさか存命の方の贋作が流通するはずがないという虚を突いてか分かりませんが、贋作のターゲットとなっているのかもしれません。
その刀匠の作品を持っている方であれば贋作を見た時にピンとくるかもしれませんが、持っていないとなかなか判断は難しそうであります。

因みに存命の方の作品にはいわゆる日刀保が発行する鑑定書というのは発行されません。
しかし、公益財団法人「日本刀文化振興協会(刀文協)」さんでは現代刀工の作品に対して、「新作日本刀証明証」というのを発行する事で偽物対策をされています。(詳細はこちらにまとめています)
これは現代刀版の鑑定書と言って差し支えありません。
こうした証明証の付いている作を買えばまず偽物の心配はありません。

また既に現代刀を持っている方は証明証の発行を依頼する事も可能でそれをすれば刀文協さんが作者の方へ直接真贋を確認する事で本物かどうか分かるようです。
本物なら上記証書が発行されます。
なのでどうしても偽物を避けたい方は、

①上記証明書の付いた刀を買う
②刀匠から直接買う(注文打ち含む)
③刀匠の直営店(ある場合)や展示会で買う

④刀匠さんに本物か直接聞く

のどれかになるでしょう。
③の直営店は、例えば河内さんの作であれば、銀座SIXにあるお店は河内さんの親族がされているお店なのでまず偽物はありません。
後はよく百貨店などで開催されている「御守り刀展」や「一門展」、こうした展示会に並ぶ刀も間違いありません。
むしろ製作された刀匠さんがその場にいることも多いですので。

尚、河内國平さんの刀は銀座シックスに行けばいつでも見れますし、現在両国の刀剣博物館にて現代刀職展でも展示されています。
大変すばらしい作で何度も足を止めては離れてを繰り返してトータル20分ほどガラス越しから見ていた気がします。
姿の良さ、地刃の冴え、地景の表現、匂口の均一さと柔らかさ、足や葉の働き、などなど見ていて溜息が出るほどでしたのでまだ行かれてない方は是非行かれてみてください。

刀剣博物館 現代刀職展2023にて
刀剣博物館 現代刀職展2023にて
銀座SIX 蔦屋書店にて

尚、押形からも覇気が伝わってきます。
映りの表情などは押形の方が見やすいかもしれません。


・終わりに

偽物がどのくらい本家に迫っているのか分かりませんが、普通に考えればやはり出来としてはかなり劣っているはずです。
もし本家と並ぶような作であるならば、その贋作作りをしている人自身が無鑑査クラスの作刀スキルがあるという事になります。
ちょうど先日現代刀職展で河内さんの刀を拝見して感動したばかりで今回の件に驚いた反面、やはり現代刀にも偽物はあるんだなという妙な納得感もあった次第です。
この感じだと吉原義人さんや大野義光さんなど、他の無鑑査刀匠の方の贋作もありそうですね。
現代刀だから安心、という考えは捨てた方が良いのかもしれません。


そういえば刀ではないですが、私の製作している刀展示ケースの模倣品と思われるものも海外で製作されていました。
以下には載っていませんが、昨年の大刀剣市2022会場では「卓上刀箱2.0」と瓜二つのものを作っている方も来て、何を思っているのかその写真を私に見せて来て「ここはどうしているのか?」と構造面を聞いてくるなどしてきました。世の中には色々な人がいるものです。


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それでは皆様良き刀ライフを!

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑

「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。


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