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「新々刀」期より「現代刀」の方が長い

1781年(天明元年)~1876年(明治9年)の廃刀令までに作刀された日本刀を「新々刀」と呼びます。
この間実に95年。
1877年以降に作られた刀は「現代刀」と呼ばれます。
今2022年ですので、実は「現代刀」と呼ばれる括りになってから145年が経っています。
実は現代刀の期間が新々刀の期間を遥かに抜いています。

現代刀になっての145年で日本刀も大きく変化してきました。
例えば戦時中には「軍刀」が登場し大量生産されています。

そして戦争に負けると、刀を作る材料が殆ど無くなったようです。(「目の眼No202」天田昭次氏談より)
戦前から材料をストックしていたような人も居たようですが、全く材料が無く廃業した人もいた様子。
この敗戦後の10年間を天田氏は「10年間のブランク」と表現しています。
そして敗戦から10年が経ちようやく最初のコンクールが開催。
天田氏によると、現代のように洗練された材料があったわけでもなく、様々な技術の人が参加していた事もあり当時の最初のコンクールはレベルが非常に低かったようですが、様々な変化があり面白さはあったと言います。

(画像出典:「日本吉」 天田昭次氏)

それから作刀研究が続き、研ぎの技術の高まりも相まり、天田氏の語る最初のコンクール時に比べると現在の刀は格段に美しくなっていると考えられます。
加えてここ10年で「エヴァンゲリヲンと日本刀」でアスカ等をモチーフにした日本刀が作られたり、「二次元vs日本刀」展での子連れ狼の「胴太貫」はじめ、るろうに剣心の「逆刃刀」、ライトセーバーをモチーフにした日本刀など、アニメや漫画をモチーフにした刀が製作されるなど、更に刀そのものの変化を感じます。

それがこの145年の間に起こっているざっくりな事なわけですが、全てをまとめて現代刀という括りに入れてしまうには少しボリューミーになってはいないか、そろそろ新しい呼び名が生まれる頃なのではないか?という気も個人的にはしています。

もしかするとこれからの10年で刀が完全にデジタルで楽しむ物に変化した場合、刀匠は皆パソコンで刀を作っているかもしれない。(まぁ流石にそれは無い気がするが。)
こうなると無形の時代がくるので、確実に現代刀という括りからは外れるだろう。
何と呼ぶのが相応しいのだろうか。無形刀?
いずれにしてもその先駆けはもう目に見える形で登場している。
次はこれがVRになり、ARになり、最後は脳内で現実と区別が出来ないような環境下で鑑賞出来るだろう。


因みにここ145年の間の変化を更に細かくするとしたら、どのような感じにするのが良いのだろうか。

古刀、新刀、新々刀、新々々刀、新々々々刀、現代刀

うーん、絶対に噛む自信がある。笑


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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