縁を感じずにはいられない刀や刀装具との出会い
なんと言っても1番はこの鐔との縁である。
購入したのはもう随分前であるが、成木一成氏による信家の弓矢八幡図写しである。
本歌は確か第1回の特別重要刀装具の指定を受けている名品で、信家関連の本にはほぼ必ずと言って良いほど出て来る信家の代表作。
さて、この鐔を見つけたのは日本刀剣さんのFacebookページが1番最初でしたが、写真から見るに鉄味や模様の高彫などかなり上手く表現しているように思え(と言っても本歌は見た事が無いのですが)、何よりもどこか信家本歌の精神性の部分も力強く精巧に写しているような魅力を感じ一目惚れした作でした。
成木氏の鐔は古作に見間違うような鉄味と、独特のテロンとした鉄味の2種があるように個人的には思えます。この鐔は前者です。
そのどちらの作も好きで、良いデザインの物があれば手元に置いて楽しみたいという気持ちもあり、お店で成木さんの鐔が無いか聞いて回っていた時期でもありました。大体後者のテロンとした鉄味の物が多い。
以下はテロンとした信家写しの作。
その中で当然ネットでも色々探しており日本刀剣さんのfacebookに辿り着いた、という経緯です。
しかし投稿日時を見ると悲しいかな10年前…
駄目元で日本刀剣さんに在庫の有無を確認して見た所、案の上既に売約済みでありませんでした。
まぁそうですよね…と思いつつ微かな期待はしていたのでやはり残念。
海外に一度出てしまうと手に入れるのはかなり困難になります。
まだ成木さんの鐔は海外の方はあまり求めないようですが、日本全国の砂鉄を蒐集しそれを用いて研究、製作した方の作です。
今後は評価されて海外に出てしまうかも分かりません。
しかしこの鐔は個人的に数多くの一成氏の鐔の中でも一番好みで欲しいデザイン。その前に何とか…という事で長期目線で成木氏の鐔の最終目標に据えることにしました。
それから1~2ヶ月ほど経ったある日、霜剣堂さんへお邪魔させて頂いた折、「成木さんの鐔を探してまして。特に弓矢八幡図の…」とお伝えすると、「ん?ちょうど似たようなのがあったような…」とまさかの回答が。
どうやら少し前に入ってきたようです。
「?!?!?!?」
頭の中は半信半疑とそれであってほしいという気持ちでパニック状態。
緊張しつつも鐔箱を開けると、なんと正しくその鐔でした。
径は85㎜程度、厚さも7㎜と重厚感があります。
次の日にちょうど市に持っていこうとしていた所だったようで。
…こんな事があるのだろうかと。
その日に来店していなかったら手にする事はなかったでしょうし、その日に成木さんの鐔を探している旨を伝えなかったら手元には来なかったはずです。
この件以来、願い続ける事で手元に来る説を割と強く信じています。
この鐔は今でも成木氏の鐔の中で一番気に入っています。
同時にこの鐔を手に入れた事で個人的な成木さんの鐔蒐集も終わりました。
今は製作した鐔展示ケースに入れて時々取り出しつつ楽しんでいます。
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それでは皆様良き御刀ライフを~!
成木さんの鐔について個人的な考察を書いています。興味ある方はこちらもご覧ください。
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
「刀とくらす。」をコンセプトに刀を飾る展示ケースを製作販売してます。