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フリマの1万円鐔

絵がかなり可愛く感じ、ついフリマで買ってしまった鐔がこちら。

①画題について

画題は玄宗(唐王朝六代皇帝)の夢に現れた鍾馗(しょうき)という髭大男が鬼を引き裂いて倒しているシーンだと思います。

これは横谷宗珉などもテーマにしているので簡単に物語を紹介します。

(画像出典:「刀装具鑑賞画題事典 著:福士繁雄」より)

ある時、玄宗の夢の中に一匹の小さな鬼が現れ、玄宗の玉笛と妻である楊貴妃の匂い袋を盗もうとしました。
鬼の手が玄宗にかかろうとした時、髭面の大男が現れ鬼を引き裂きあっという間に退治。

夢の中に現れた髭面の大男は「鍾馗」と名乗り、玄宗にひざまづいて「科挙の試験(随~清の時代まで行われた官僚登用試験)に失敗したことを恥じ、自ら命を絶ったにも関わらず、帝に手厚く葬って頂いたことを感謝しております。今日はその恩に報いるため参りました。」と話した。

玄宗が夢から覚めると病はすっかり癒えて元気になっており、鍾馗が鬼を退治し帝の病が癒えたという話は、 あっという間に国中に広まり、髭面の鍾馗は道教の神として祭られるようになったということです。

②表と裏

何とも余白の使い方が好み。

③この鐔をルーペで鑑賞

ここからルーぺで見てみた写真です。
素銅に彫?がなされていますが、そこに黒い何かを埋め込まれており、遠目で見ると墨絵のように見えます。
黒いのは拡大してみると砂っぽい質感に見える。
これも赤銅だったりするのでしょうか。いわゆる埋忠なんかの象嵌とは全く違い、表面は更に凹凸があり何かを乗せたように見えます。
その他で言えば指の細かい点や腕の毛の再現など、意外に細かく彫られている気もします。

この少し抜けたような表情が堪らなく好き。笑

材料は素銅でしょうか。
茎孔の角がピンと立っていたりなど、結構新しそうです。
全然分かりませんが。

ということで当然鑑定書はありません。
今度日刀保の鑑定に出すのも面白いかもしれない。
お土産品にしては結構クオリティが高い気もするが、もしこれがお土産品だったとして何と書かれるのだろうか。
気になるところです。

まぁこれが旅行先のお土産品として1万円で売られていたとしてもその場で買っている自信がある位には構図が気に入っており、見るとほっこりします。
名鐔も見所が沢山有り良いですが、こういう安いものも面白いですね。


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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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