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鐔の櫃孔は物語る?

鐔には小柄や笄を通す為の孔(あな)が開いていたりする。(開いていないのもある)

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(画像出典:刀剣ワールド  刀装具・拵「拵の部位名称」


小柄櫃孔と笄櫃孔も当然だが小柄や笄を出し入れする為の逃げ穴という用途があり、用途があるが故に位置もしっかり決まっているはず。
ここが大きくズレると小柄や笄を脱着出来なくなるし抜刀がしづらくなる。
どんなに構図が上手に見えてもそれらの位置が変であればそれは疑うべき物らしい。
これは現代作などに時々見られるらしく、鐔単体で見れば美しく見えたとしても用をなしているとは言えない、と刀屋さんから聞いた事がある。

例えば適当な写真加工で申し訳ないが、以下のように小柄櫃孔と笄櫃孔の間隔が広すぎるとか、

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以下は大げさであるが、小柄櫃孔と笄櫃孔の中心がずれていたりとか。

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勿論全部が全部偽物かは不明であるが、これはなるほどな、と思った。
用を満たしていない物が昔の物に存在している可能性は低く、命を預ける武器に対してこのような刀装具類は特に気にして作られているはず。
櫃孔のズレなどは特に許されないだろう。
現代作になぜそのようなズレが起こるのか想像してみると(あくまで想像でしかないが)、お手本となる鐔だけを見ながら作った場合はこのような事が起こり得ると考えられる気もする。
勿論現代においても技量の高い人はそのような物はまず作らないだろう。

ついつい私は鐔を見る時に、構図がどうだとか、ルーペを手に入れてからは特に、彫はどうか、魚子(ななこ)の入り方はどうかなど全く分かっていないくせに細かい部分に視点が行き過ぎていた気がする。

機能としての部分で用をなしていない物には確かに疑問が生まれるという指摘はよく分かるし、物を見る視点も面白いなと感じたので今回書いてみました。
刀にももしかするとこういった部分が隠されているかもしれないですね。


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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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