日刀保横浜支部鑑賞会(2025.1.19)
昨日日刀保横浜支部に参加させて頂いたので鑑定刀の振り返りをしておこうと思います。
日刀保から借用にて行ったので銘は出せませんが、重要刀剣5振が並びました。
1号刀 南北朝大和物
大切先大擦り上げ姿、南北朝体配。
焼き刃の低い尖り刃や互の目に砂流しや金筋が絡む。
地鉄は焼き刃近くは流れ肌だが、鎬地付近は板目に杢を交えた地肌になるなど変化がある。
地景などは元重あたりにも見たことがあるが映りは見られない事から大和か相州を想像。
相州であれば行光に入れたい刀だが行光にしては匂い口が固い。ということで当麻に入札。能候。
尖り刃にもっと注意して見るべきでした。
2号刀 肥前短刀
短刀で倶利伽羅龍の彫物、反対面に護摩箸の彫あり。
刃文は直刃、匂い口が帯状になり地鉄はよく積む。
肥前と予想。
代は悩むが出来が良かったので初代に入れる。同然。
帯状の匂い口の完成度が高かったので少し後の肥前と見るべきでした。
3号刀 来派短刀
短刀で品のある姿に焼きの比較的高い互の目で沸が良く付いており匂い口が柔らかい。
両面、刀樋に添樋が入る。
姿や潤いある鉄から鎌倉末期の山城物と想像。
少し帽子のまとまりが落ちているように見える箇所があり延寿の出来のよい作か?などと想像して延寿国泰と入札。同然。
まさかの在銘かつ来派の中でもかなり珍しい作でした。見れて良かったです。
4号刀 室町時代の備前物
二尺二〜三寸ほどの少し先反りが加わった尋常な切先、丁子刃の作で棟あたりに焼も入る激しい作。
映りはほぼ見えない。
見た目は片手打ちの姿だが重ねの厚い作でかなりずっしりする。
姿から室町時代と想像し、丁子刃から備前物を想像。
棟側に焼きもあったので祐定と入札。同然。
正解はもう1人の方で個人的にいつも頭から抜け落ちる人の方でした。名品は多いのですがなぜか忘れてしまう…。
5号刀 矢筈刃の大阪新刀
二尺四寸ほどの反りの少ない刀。よく詰んだ地鉄に濤乱刃風の刃に矢筈刃を交えている。
匂口を見ると柔らかいものの助広には到底及ばない。
丸い飛び焼きもない事から助広はないだろう、かといって助直とも刃文の様子が違う、という事で越後守包貞と入札。同然。
包貞に学んだ人の方でした。
終わりに
今回は一札目で「能候、同然、同然、同然、同然」でした。比較的分かりやすい作を並べて頂けたというのは有りつつも嬉しい結果です。
個人的には来派の珍しい在銘作を見れたのは非常に収穫でした。ずっとそればかり見ていた気が…。
しかも埋忠が制作したっぽい台付ハバキまで付いていました。
これは埋忠刀譜に載っていそうな。一度調べてみようと思います。
今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!
↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)