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美術館収蔵の刀装具、細部が見たい

美術館収蔵品が素晴らしい事は言うまでもないが、どうも見えづらい。
見えづらいというよりも見たい部分が見えない

例えば目貫であれば、大体3㎝程度の大きさしかない。
故にガラス越しから見ようとするとこんな感じになる。

スマホで撮影して拡大して見た方がよく見えることもある。

しかしそれでも構図がなんとか分かる程度で細部は見えることはない。
そしてそれ以上に側面や裏側はそもそも見えない。

優しい所だと拡大鏡が置いてあり表の細部が見やすく配慮されているので助かる。(以下は美術館ではなく刀屋さんであるがイメージとして)

このような工夫がなされている美術館では感覚ではあるが、以下位見える。

しかし欲を言えば以下のように丸鏨の跡が見える位まで細部が見たい。
なぜならこの形が三角形であれば後藤家の作であったりなど、こうした細かい部分にも流派の一作風が現れているからである。
(以下は古美濃龍目貫なので丸鏨を用いている)

後藤家の場合は三角形の鏨を用いている

しかしこの位のズームで見ようとすると、拡大鏡のレンズがとても小さくなりガラス越しには見る事が出来ないと思われる。
更にあらゆる角度から見る事も出来ない。

故に展示では実現は難しいので、これを解決した一番の理想形は東京国立博物館で行われているようなVRシアター、これを目貫を始めとした刀装具で行ってもらえるのが一番有難い。
様々な角度から拡大して見れるのは非常に魅力的である。
直近だと本阿弥光悦の舟橋蒔絵硯箱がこれで再現されていたが非常に分かり易かった。
舟橋蒔絵硯箱のVRは現時点で館内のみでの公開となっているので、イメージとして別のものを以下に貼っておく。(30秒後~)


とVRシアターは一番の理想なのであるが、やはり費用も時間も相当にかかりそうな気もする。
なので、ここまで作り込まなくて良いから普通の高画質のカメラで様々な角度から撮影したものが例えばe国宝などのようなサイトにまとめてアップされていると嬉しい。

例えば以下はe国宝のサイトに掲載された国宝の梨地螺鈿金装飾剣。

(画像出典:e国宝 梨地螺鈿金装飾剣

表と裏それぞれ正面からみた写真のみが掲載されており、最大にズームした場合で上であるが、さらに2段階ぐらいズーム出来ると嬉しい。
彫金部の彫口がどうなっているのかなどを見たい為である。
意匠の他にも鏨の入れ方などから「古金工」や「京金工」と呼ばれるざっくりした金工群がもしかするともう少し細分化してグループ分け出来るようになるかもしれない。
また側面から見た写真と上下から見た写真も同じく拡大して見たい所。
つまり理想を言えば、画面上の収蔵品をマウスで360°クルクル回しながらズーム出来るのが理想です。

図録などに顕著であるが、目貫なども表しか掲載されていないものが非常に多い。刀装具の専門書になると裏面も載っている事もありかなり助かるが、それでも側面から見たものまでは載っていない。
型で押出されたりしたものは側面からの見え方で判断出来る場合もあるのでこの辺りも見たい所である。

刀装具を蒐集している身からすると美術館収蔵品のようなお手本と言われるような作と手元の品をじっくり比較しながら自分なりの所感を持ちたいのであるが、これだと比較しようにもなかなか出来ない。

更に更に理想を言えば月一くらいでも良いから学芸員の方の解説ブログなど知識豊富な方の見方も合わせて掲載されていると非常に勉強になりそうである。(最近は刀屋さんの解説動画やブログなども増えてきているから本当に嬉しい)
と半ば愚痴をつらつら書いてしまったようにも見えなくないですが、割と同じことを感じている愛好家の方は多い気がするのですが如何でしょうか。

美術館収蔵品は一度入ってしまうと手元で見れないというデメリットもあり、是非その辺りどうにか解決頂けると嬉しいです。
先のVRシアターは正しくそれを解決するもので未来を感じます。



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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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