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刀展示ケースに使用している「箔漆板」の成功例と失敗例
卓上脇差箱2.0を少し改造して、短刀を拵と横並びで飾れるようなケースの製作依頼を頂いていましたが先日ようやく完成しました。
土台の表面は秋の紅葉をイメージした落ち着いた赤色、裏返すと対照的にカラフルになりよりアートさを増すようなポップなイメージとなります。
2枚のアクリル板で箔を挟み込み、その間に漆を入れて乾燥させる事でリバーシブルで楽しめるようになっています。
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漆の乾燥の都合上この箔漆板だけで製作に数か月掛かってしまうのですが当然失敗する事もあります。
今回は漆板の成功例と失敗例について書こうと思います。
以下が成功例と失敗例を並べたものになります。
こちらの面から見ると両方上手く行っているように見えますが…
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裏返すと色味がだいぶ違って見えます。
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失敗の方はそれはそれでこのようなデザインになっているようにも見えますが、何が失敗かというと裏のカラフルな箔が表側に見えてきてしまっているという点です。
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2枚を貼り合わせて漆が乾燥するまでズレないように抑え込むのですが、抑えていた部分は空気が入りづらくなり漆の乾きが遅くなってしまい、そこから漆が流れ出て表に貼っているカラフルな箔が表面にも表れてしまった事が原因です。
拡大するとこのような感じ。
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という事で箔漆板の成功例と失敗例についてでした。
箔は漆が乾燥する過程で縮むなど、同じ模様が1つとしてありません。
その為毎回どのようなデザインに仕上がるか楽しみだったりします。
尚、他の箔漆のデザインなどもあり、以下にまとめていますので刀を飾っての見え方など参考にされてみてください。
今回も読んで下さりありがとうございました!
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それでは皆様良き刀ライフを!
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)
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