【知らないと危険】テニス肘(上腕骨外側上顆炎)のテスト2選と病態、テニスプレイヤーの指導ポイント
今回は整形外科クリニックで勤務していると、高頻度で見る肘の疾患のテニス肘、外側上顆炎について解説します。
過去にも筋膜の観点からや評価の観点から解説した記事もあるので参考にしてみてください!
上腕骨外側上顆炎とは
テニス肘は、前腕伸筋群の起始である外側上顆に、反復して加わる腱の牽引力が原因で生じる付着部炎と言われています。
診療ガイドラインでは、
好発年齢は30歳代後半~50歳代と言われています。
スポーツではテニスやバドミントン、ラケットスポーツでの発生頻度が最も高いとされています。
生活でのリスクファクターとしては、性差、年齢、利き手、喫煙、飲酒など特定できるものではないと言われていますが、重労働作業者では、前腕回内位で手に力を入れる作業をする人でリスクファクターになる可能性があると言われています。
また、重労働と非重労働とでは重労働の人の方が難渋例になりやすいという報告があります。
レクレーションレベルでの女性テニスプレイヤーの中で上腕骨外側上顆の症状をきたすグループと無症候性のグループでの比較研究では、僧帽筋筋力、手関節背屈筋力が弱い傾向にあったという報告もあります。
病態について
主な障害部位は、手関節伸筋群の中でも短橈側手根伸筋の近位付着部です。
その病変は腱付着部症であり、付着部の変性に伴う腱線維の微小断裂、部分断裂や完全断裂、石灰化であると言われています。
特に、その原因として指摘されている伸筋は、短橈側手根伸筋と総指伸筋です。
これら2つの筋の起始部が、どのような解剖構造になっているかを知っておくことは、臨床上重要なことだと思います。
短橈側手根伸筋は、橈骨輪状靭帯、外側側副靭帯と接しながら起始腱を伸ばし、外側上顆に付着しています。その表面には総指伸筋の筋腹が重なり、その近位は腱となって外側上顆に付着します。
合併病変としては、輪状靭帯の狭窄・断裂、橈骨頭軟骨損傷、腕橈関節包断裂が報告されています。
解剖について
・短橈側手根伸筋
起始:上腕骨外側上顆、外側側副靭帯、橈骨輪状靭帯
停止:第3中手骨底背側面
神経支配:橈骨神経の深枝(C6〜8)
主な作用:手指伸展(PIP、DIP、MP)手関節の背屈
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