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どうして日本人は「ガリガリ=スタイルが良い」という風潮なのか。

「最近の日本人はガリガリになりたがる人が多い」

「少しくらい肉付きがいい方が健康的だ!」

「アメリカはマッチョイズムだし女はボンキュッボンでメリハリある体が〜」

このように、ネット上では若い人の痩せ型志向にダメ出しをする自称標準体型(デブ)の逆張りが見受けられるが、実際のところ日本人にとって痩せていてすらっとしてる人に魅力を感じるというのはごく自然なことだ。

というわけで、今回は日本人が痩せてる人に魅力を感じるそのメカニズムを解説していこうと思う。


①痩せ型のビジュアル的な魅力

まず、下図にある高さが同じ正方形と長方形をそれぞれ見比べてみて欲しい。

タテ5センチ、ヨコ5センチ
タテ5センチ、ヨコ3センチ


正方形はずっしりとした寸胴体型、長方形はすらっとしたモデル体型
を連想させるということが一目瞭然だろう。

同様に、同じ身長でも痩せている人は太っている人に比べて横幅が狭いので相対的に手脚も細くなり、太っている人よりも手脚がすらっとして見える。

つまり視覚的にスタイルが良く映るというわけだ。

スタイルが良いというと単に背が高い人を想像しがちだと思うが、スタイルの良さを決定付けるのは背丈の高さだけでなく横幅とのバランスの兼ね合いもある。

...が、横幅が狭ければ狭いほど良いとは一概には言えない。

痩せ型で生まれつき肩幅が広い人は小顔に見えるだけでなく両肩からウエストに向かってシルエットが逆三角形に見えるので、究極、「肩幅の広い痩せ型の高身長」はあらゆる体型の中でも一番見映えが良いということになるだろう。(日本人にとっては)


②魅力的に映るのは平均から突出した何かを持つ者に限定される

例えばリンゴが10個あったとして、そのうちの9個が熟しているもの、1個が熟していないものだとする。

この中で最も質の高いリンゴを答えろと言われた場合、あなたはひとまず熟していない方のリンゴは最初に除外しておくことだろう。

「熟しているリンゴ」が10個の中では平均値なので、悪い意味で平均とかけ離れている「熟していないリンゴ」を切り捨てる選択は正しい。


で、肝心なのはここからだ。


9個とも熟しているからみんな仲良く同率1位!

...とはならないだろう。

9個とも熟していることはもはや前提で、味、食感、キズの有無など、あなたは着眼点を増やしていきながら他と差を付ける選りすぐりの1個をどうにかして選ぼうとするはず。


これはリンゴだけでなく顔や体型についても言えることで、そもそも人間が本能的に魅力的だと感じるものは、全体の平均にプラスアルファの要素が加わったものだけだ。

みんなが限りなく平均に近付けば、人々はその中でさらに価値基準を設けて平凡な人間をふるいにかけようとする。

そしてその中に残った上位数パーセントの美貌の持ち主が「美人」と見做される。


③すらっとした痩せ型に魅力を感じるのが日本人に限定される理由

①では痩せ型の人が魅力的に見える理由、②では人々が突出したものに価値を見出したがるメカニズムを説明してきた。

だが冒頭でも述べたように極端な痩せ型に憧れを持つのが日本人の特徴。

欧米はもちろん、今はお隣りの韓国や中国ですら「男は筋骨隆々であるべき」という風潮が広まっている。

では、どうして日本人だけが過剰なまでに細身の体を持て囃すのか。


答えは簡単な話で、日本人は世界的に見て比較的小柄な民族だからだ。

白人や黒人は生まれつき手足が長く、小顔なのが当たり前。

白人や黒人にとってそれらは平均でしかなく、ステータスにならない。

だから欧米ではプラスアルファで筋肉や体のメリハリが求められるわけだ。

これに関しては韓国も中国も同じこと。特に中国の男性の平均身長は175センチと、アジアの中ではかなり背が高い部類に入る。


日本人はその反対なので、未だに手足の長さや顔の小ささに重点を置いている。

その条件(手脚の長さ)をクリアしていない人が大多数だからである。

また、日本人が彫りの深い顔立ちに憧れるのも、日本人が基本的に彫りの浅い顔立ちの民族だからに過ぎない。

白人に鼻が高いと言うのは褒め言葉にならないし、顔が小さいというのも同様。

もしも進化の過程で日本人の殆どが手足が長く小顔な人種になったら、その時に初めてメリハリに価値を見出す考えが広まることだろう。


終わりに簡単な推測をしてみると、それは欧米のように平均身長が170代後半に突入した時だ。

しかし日本人の平均身長は20代が172センチに到達した時以来、今なお伸び悩んでいる。

近年はむしろ低身長化しているらしいので、痩せ型信仰はこの先もしばらくは続くだろうと予想される。

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