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プロボノ体験記~町会ホームページ作成支援編~

2020年、コロナ禍の中ではありましたが、少しだけプロボノ活動を実施しましたので、どこかで誰かのお役に立てばと思い、記録を残しておきます。かたじけない!

まさかのお誘い

2020年10月1日、サービスグラント事務局からメールが届きました。
内容は、都内の町会・自治会の方が自ら行うホームページやFacebookページの作成を伴走支援する実践講座とのこと。講座自体は10~12月に月1回ずつの計3回ですが、講座と講座の間はプロボノワーカーが、伴走支援するという形式。
正直、コロナ対応で仕事が忙しく、プライベートでは資格試験の勉強中でもあるので、落ち着くまではプロボノ活動はお休みしようと思っていたのですが、2つの理由から引き受けることにしました。

一つは、誘っていただいた参加形態がイレギュラーだったこと。今回のプロジェクトはコロナ禍に対応したいという町会・自治会が“情報発信”への関心を高めており、応募団体が多く、その数に対してプロボノワーカーの数が足りないとのことで、講座当日のみ現場サポートするワーカーを探していたそうです。3ヶ月間継続して伴走支援するのは難しいなと感じていたのですが、当日のみのサポートなら実質3日間だけスケジュール調整すればいいので、なんとかなるかなと考えました。

二つ目の理由は、前回、初めてながらも精一杯プロジェクトに取り組んだ時のスタッフさんの推薦(?)や、市役所職員なら町会活動の雰囲気も分かるだろうとのことで、私に声をかけてくれたことが素直に嬉しかったからです(単純w)。社交辞令かもしれないけど、「あなたに依頼したい」と言っていただけるのは嬉しいものですね。

あ、ちなみに、前回のプロジェクトが気になる方はコチラをどうぞ。

いきなりオリエンテーションに参加できず

10月7日にオリエンテーション(ZOOM)が実施されたのですが、ものの見事に胃腸炎でダウンし参加できませんでした。スタッフさんにもご迷惑・ご心配をおかけしてしまいました。その節は申し訳ございませんでした。
ちなみに、私はホームページを作成する3つの町会さんを2名のプロボノワーカーさん(2名ともプロボノ初参加の女性)とともに支援することになりました。

気を取り直してWix勉強会

10月10日は、プロボノワーカー向けのWix勉強会(ZOOM)が実施されました。
ホームページ作成は、「Wix ADI」という無料のソフトを使って行うのですが、私は初めて聞くソフトだったので、「自分も知らないソフトを使って、ちゃんと支援できるのだろうか?」と不安でした。したがって、この勉強会は大変重要なものでしたし、ホントにありがたい機会でした。

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Wixのサイトにアクセスしてログインするところから、基本的な操作方法までを教えていただき、事前にマニュアルも整備してくださっていたので、勉強会が終わる頃には「なんとかできそうだ」と思えるくらいになりました。実際に自分で操作してみて、かつ他のプロボノワーカーさんと一緒に操作をしてみたことで、つまづきやすいポイントも分かったので「講座初日は今日覚えた内容をそのまま話そう」と決めましたw

そして何より分かったのは、操作方法もさることながら、そもそもどんなホームページにしたいのか、どんな構成にしたいのかがイメージできていないと泥沼にハマる危険性が高いということでした。無料のソフトとはいえ、予想以上にいろいろな機能が使えるので、どの機能を使おうかと考え出すと「あれ?結局何がしたいんだっけ?」となったり「いろいろあり過ぎてもう分らん!」となってしまう恐れがあると感じました。

したがって、重要なのはPC操作よりも「誰に何を伝えたいか」というターゲットとゴールのイメージ設定なので、そこをしっかりサポートしようと心に決めました。結果として、これが良い方向に働いたと思っています。

実践講座第1回

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10月17日、新宿NSビルにて初顔合わせ&プロジェクトスタートです。スタッフさんとプロボノワーカーさんとは勉強会(ZOOM)で顔合わせしてはいたものの、やっぱり対面での初顔合わせは緊張します。そして何より、3つの町会さんとは初対面なので、どんな方々なのかドキドキでした。

私の担当するグループには、A町会からは2名参加、B町会とC町会は1名ずつ参加の計4名。プロボノワーカーは私も含めて3名ですので、各町会のサポートに1名ずつ入ります。
私が担当したのはA町会でした。ワークを進めながらヒアリングしたA町会の課題やターゲット、強みは次のとおりでした。

<課題>
新築マンションの増加もあり、若い世代やファミリー層の転入も増えているが、町会への加入者は少なく、マンションのセキュリティ上、回覧板も回らないので情報が伝わらないし、接点も無い。そのため、せっかく町会に興味を持ってくれた転入者側も問い合わせ先が分からないという、お互い不幸な状況になっている。
そこで、ホームページを作成することで、誰でも町会の情報を得られるようにしたい。
<ターゲット>
ファミリー層。特に引っ越し(転入)してきた世帯。
<強み>
人気の商店街があり、お祭りや年1回のバスツアーなど子どもが参加でき、ファミリーで楽しめるイベントがある。また、引っ越してきた人が最初に困るのがゴミの捨て方だが、そこを町会が情報提供やサポートすることで町会を知るきっかけにできる。

今回のプロジェクトでは、A町会に限らずどの町会・自治会もほぼ同じような課題(高齢化、加入者の減少、人間関係の個別化や希薄化など)を抱えているということがよく分かりました。

自分の立ち位置と役割

講座初日は、Wixの基本操作やホームページを作成する目的やターゲットの設定で終わりましたが、勉強会をしていただいたおかげで、概ね想定通りの進行・説明で問題なく終了しました。
想定外だったのは、A町会さんはお一人は年齢も若くPC操作もスムーズだったため、Wixの操作方法も飲み込みが早かったことです。操作でつまづくと、本題の「誰に何を伝えたいか」を考える時間がなくなってしまうのですが、その心配はあまりなさそうでした。
一方で、予想通りWixの機能に気を取られてしまい、「こんなことも出来る、あんなことも出来る。じゃあ、これもやりたい、あれもやりたい」と構想や全体像が固まる前に手を広げ過ぎる危うさを感じました。

そこで、私は「ターゲットは誰でしたか?」「今回のホームページの1番の目的は何でしたか?」と、何度も確認するようにしました。今回のプロジェクトにおいては、私の役目はナビゲーターに徹することであり、実際に作業するのはA町会のお二人であるという位置付けを自分の中で強く意識しました。車の運転で言うところの、カーナビと運転手の役割のイメージです。

次回までに、ターゲットとなるファミリー層にヒアリングをしてきてもらうのが宿題でしたが、ヒアリングできそうな人が思い浮かばない様でした。代わりに、アンケート調査をしてみるとの事でしたが、果たして・・・。

実践講座第2回

11月14日、再び新宿NSビルでA町会のお二人にお会いしました。さて宿題はというと、アンケート調査は実施できずでしたが、ホームページのおおよその枠組みは作成できていました。
お話を伺うと、やはりファミリー層に接点がないためアンケートはハードルが高かったとのことでした。現状の会員もほとんどが高齢者で、子育て中の人はおろか、同居している人も思い当たる節がないとのことでした。
したがって、この講座中は私がファミリー層の代弁者となって一緒に「ファミリー層はどんな情報が欲しいのか?」を考えていくことにしました。

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他の町会・自治会の実際のホームページを参考にしながら、グローバルナビゲーション(ホームページ内の案内メニュー、目次のようなもの)を考えます。
前回整理した通り、A町会の強みはお祭りやバスツアーなどのイベントでしたので、アイキャッチになるようそれをトップにして、ファミリー層への第一印象を上げるようにします。次に、転入者が知りたい情報(ゴミの捨て方や子どもや高齢者に関する情報など)のページと、回覧板が回らないマンション等の世帯のために、回覧板と同じ情報を掲載するページを作ることにしました。

Wixの機能やターゲット以外の人(A町会の場合は、既存会員の高齢者世帯)に気を取られて手を広げそうになる度に、2つの質問を投げかけます。
「ターゲットは誰か?」「今回ホームページを作る目的は何か?」
とにかくこの二つに情報を絞って、なるべく見やすいシンプルなものにすることを徹底しました。Wixの操作はできると分かったので、手を広げ過ぎないよう注意しながら、グローバルナビのイメージをワークシートに書き出していきました。この作業が、今回のプロジェクトの中では一番重要なフェーズだったと思っています。

実践講座第3回

12月12日、いよいよ最終日、再び新宿NSビルへ。
しかし、この日はプロボノワーカーの数は少なく、ほとんどがオンライン(ZOOM)参加でした。というのも、この時期、全国的にコロナの感染者数が増加しており、事前に当日参加できるかどうかの確認がありました。プロボノワーカーの多くは企業で働いている方なので、会社の方針で会議等には参加できないという方や自粛している方が多かったためです。会場では、マスク着用はもちろんのこと、さらにフェイスシールドも配布されての開催でした。

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A町会のお二人も会場に来るということでしたので、私も会場参加しました。私の場合は特に、講座当日のみ現場サポートするというイレギュラーな参加形式でしたし、何よりこれまで2回、A町会のお二人と接してきて、このお二人の場合はオンラインよりも対面でお話した方が良いと感じていたからです。
嬉しかったのは、「前回の(グローバルナビの)ワークシートを作っていたおかげで、ホームページ作成の作業がしやすかった」と言っていただけたことです。まさに狙い通りでした。
前回はWixの機能やターゲット以外の人に気を取られてしまいがちでしたが、今回はファミリー層に向けた情報をシンプルに作れていたと思います(私がしつこく質問したせいかw)。

そんなこんなで、なんとか全3回の講座は乗り切ることができました。
(下の写真は、新宿NSビルのクリスマスツリーですw)

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これからが大変な道のりかも・・・

たった3回ではありましたが、A町会のお二人と話をする中で、少し気になるところがありました。それは、A町会には役員が30名ほどいるそうですが、やはり高齢の方が多く、お二人の話から推察するにデジタルに慣れていないための不安(ホームページなどを悪用されたりしないか、ちゃんと更新・管理できるのか等)がありそうなことです。現に、回覧板と町内の掲示板以外の情報伝達ツールはないそうですし。

そして、今回のホームページ作成もまだ一部の役員さんにしか話していないということでした。おそらくは、他の役員さんとの関係性(信頼関係や力関係など)や役割分担で苦労しているのだと思われます。その意味では、なるべく早い段階で他の役員さんにも作成したホームページを見せて、とにかくまずは公開して使ってみることをお勧めしました。スモールスタートで、小さな成功体験を重ねて自信をつけてもらうことで、デジタルに対する印象が変わることを期待したいです。
少なくともA町会のお二人に関しては、第1回目の講座の時はホームページ作成に対してかなり否定的な発言が多かったですが、2回目、3回目と少しずつホームページの形が出来てくるにつれて、だいぶ前向きな発言が増えてきました。

これからが大変な道のりかもしれませんが、うまく乗り越えてくれることを願っております。

どの町会・自治会も同じ課題を抱えている

途中にも書きましたが、今回のプロジェクトでは、A町会に限らずどの町会・自治会もほぼ同じような課題(高齢化、加入者の減少、人間関係の個別化や希薄化など)を抱えているということがよく分かりました。

しかしながら、それらの共通課題に対して、解決に向けたアプローチは地域性や内部の人間関係などに応じて柔軟に変えていかなければいけないところが難しくもあり、やりがいにもつながる部分なのかなぁ、と感じました。
町会・自治会は良くも悪くも人間関係が近いため、今回のプロジェクトのようにプロボノワーカーのような第三者が入ることで、新たな取り組みや改善などは進みやすいのではないでしょうか。

コロナ禍の大変な中での講座でしたが、私自身もかなり貴重な経験をすることができました。ナビゲーターとして、伴走支援することのやりがいと楽しさにも改めて触れることができました。
運営スタッフの皆様は本当に大変だったと思いますが、このような機会を与えてくださったことに感謝します。かたじけない!

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