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公務員にもマーケティングは必要ですか?(12) ~まとめ~

突然ですが、私は「関ジャム 完全燃SHOW」(テレビ朝日)というテレビ番組が大好きです。
人気の曲やミュージシャン、楽器やクラシックまで、音楽に関する様々なテーマを毎回設定し深掘りしていくという内容なのですが、毎回、目から鱗の知識やテクニックなどが紹介されていて本当に面白い!
しかも、それを嬉々として話すのが、本人または同業者であるプロのミュージシャンや関係者であるという点がまた面白い。

先日放送されたテーマが「究極の共感ソング」というもので、それを深掘りしたのが、作詞プロデューサー・いしわたり淳治さんと歌手・西野カナさんでした。
西野カナさんといえば、「会いたくて 会いたくて」や「トリセツ」、「Darling」などヒット曲が多数ありますが、なんといってもその歌詞に共感する女性が多いのではないでしょうか。
そんな「共感」をどうやって生み出しているのか?
その一部を番組内で紹介してくれていましたが、それを見て「これマーケティングじゃん!」と思ってしまった訳です。

放送されていた内容の一部

<西野カナさんの作詞方法>
コンセプト・設定など

一旦、詞を書き出す

アンケートや友人への取材で
共感性を意識して添削

正直、驚きました。
ミュージシャンやアーティストという職業においては、自分自身の才能や感性による閃きで新しい何かを生み出すものだと、最近まで思い込んでいた私にとっては、ここまで計画的・戦略的に作られているとは思いもしませんでした。
この流れは、コンセプト設計→試作品→テストマーケティング→改善→商品化といういわゆるPDCAサイクルを回しています

さらに、次のような話もしていました。

①過去の恋愛を引っ張り出してきて、実体験を歌詞にした
②一度書いた歌詞を友人などに読んでもらいブラッシュアップする
③アンケート調査を行い、その結果から多くの人が同じように感じていることや経験を吸い上げる
④ただし、意見の多いものが採用されるとは限らず、歌詞に合わないようなものは使わない

これを聞いて、見事に3C分析やニーズの把握、SIPSモデルなどの要素と重なるなと思いました。
①は、自分の経験の棚卸しですので、3CのうちのCompany(自社)分析に他なりませんし、②や③は3CのうちのCustomer(顧客)分析であり、顧客のニーズ把握も同時にしています。
さらには、「公務員にもマーケティングは必要ですか?(2)~そこにニーズはありますか?~」でも述べた通り、ニーズをそのまま実行するのは危険が伴いますが、④で作り手としての判断が入ることで、「ニーズはあくまでもヒントであり、それを素にプロが作るものがより高い価値を生む」という状態にしています。
そうやって生み出されたProduct(商品)なのでSIPSモデルにおける最初のSympathize(共感)も当然クリアしている訳です。
このように、ミュージシャンにおいても感性や閃きだけでなく、マーケティング的な情報収集と分析が必要で、そこから共感が生まれているということを証明するような内容でした。

随分と前置きが長くなってしまいましたが、このようにマーケティングは作詞などにも応用できますので、公務員の仕事にも当然、応用ができると私は考えています。
その流れをもう一度、整理したいと思います。

3C分析

STP、USP、ペルソナなどの設定

4P、4Cの作成

AIDMA、AISAS、SIPSなど顧客心理へ訴える

実践なき理論は空虚であり、
理論なき実践は無謀である。

最後に、自分への戒めも込めて書き記しておきます。
マーケティングにおけるモデルケースやフレームワークというのは、一般論にするために個別具体的な情報を削ぎ落として抽象化された大枠の(大雑把な)公式であるということ。
そして、世の中にある成功事例は、多くの失敗を経て微調整されたケースバイケースのオリジナル方程式にレベルアップされているということ。
したがって、学んだモデルケースやフレームワークを、自分が抱える課題の本質をとらえた解決方法にまでレベルアップするには、自分で試行錯誤を繰り返すしかないということです。

どんなに理論を学んでも実践していなければ理論を知らないのと同じですし、逆に理論を知ろうともせずに実践してしまうのは愚の骨頂です。
試行錯誤(トライ&エラー&分析&改善)を繰り返して、自分なりの必勝パターンを見つけるしかないので、学んだら実践することが大事なのです。
それも、できるだけ早くかつ多く、仮説と検証を繰り返すことが重要だと考えています。
ここでの説明は省略しますが、高速PDCAやOODAを回すことが必要になってくるのです。
行政の特性上、「今年度は試行して、来年度の予算要求で反映させよう」というような年単位でのPDCAサイクルになりがちなのですが、それでは時代の変化に対応するには遅いと思いますので、担当者レベルや現場レベルでできることで構わないので、高速PDCAまたはOODAを回せるよう努力したいところです。

私自身も、現在の仕事にマーケティングを活用して試行錯誤、仮設と検証を繰り返していきたいと思っておりますので、その結果は、また別の機会に記事にしたいと思います。

とりあえず、「公務員にもマーケティングは必要ですか?」はこれで一旦、連載終了とします。
約3ヶ月間の記事でしたが、ご愛読いただき本当にありがとうございました!
今後は、プロフィールにもあるとおり「公務員×○○」という感じで、公務員視点での記事を書いていこうと思っています。
マーケティングネタも継続していきたいと思いますので、今後ともスキやフォローをよろしくお願いいたします!!

おわり

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