辞めない公務員 〜月刊ガバナンス 2023年11月号より〜
この度、大変ありがたいことに、行政系専門誌の「月刊ガバナンス」に寄稿する機会をいただきました。かたじけない!
寄稿したのは、早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会の修了生(マネ友)によるリレー形式の連載コラムです。
私は2014年に武蔵野市の第1期生として参加しましたが、人材マネジメント部会での経験は大きなターニングポイントの一つとなりました。
まさか、9年後にコラムを書かせていただく機会が来るとは思ってもいませんでしたがw
私のコラムでもフク(副・複)業に言及しましたが、奇しくも、特集で公務員の副業の話題があったり、武蔵野市と友好都市である富山県南砺市の市長さんが巻頭グラビアだったりとご縁を感じる11月号でした。
以下、寄稿文のリライト版です。
辞めずに残った多くの公務員仲間を少しでも激励できれば、との想いで書きました。どうぞご笑覧ください。
辞めない公務員
「(やりたい事があるのに)公務員だから〇〇はできない」という他責の不満を持つのではなく、「公務員なのに〇〇もやっている」というポジティブ思考で、その意外性を武器にしたいと私は考えている。
2023年5月、長野県松本市の田中裕子さんと京都府長岡京市の清原茂史さんと共に「辞めない公務員」という一風変わったオンラインイベントを地方公務員オンラインサロンHOLGにて開催した。
近年公務員を辞める人が増えており、辞める理由や辞めた後のご活躍はSNSやメディア等で耳にすることがある一方で、「辞めなかった人の話を聞く機会って無いよね」という共通認識がきっかけで、じゃあオンラインでイベントやってみようかと意気投合したのだった。
よく「公務員だから専門性が身に付かない。だから公務員は転職では不利だ」などと言われることもあるが、私は決してそんなことはないと思っている。
事務処理力や文書作成力、会議等の調整・段取り力、組織内外との関係構築・折衝力、傾聴力や相手に応じたコミュニケーション力、指導育成力等、公務員といえども組織人としての専門性は充分身に付いている。
私がそれに気づく事が出来たきっかけは、いつも役所の外にあった。
私の場合、人材マネジメント部会への参加や信用金庫への派遣、プロボノ活動、オンラインコミュニティ(オンライン市役所やHOLGなど)への参加等、組織の外に出て新たな視点が増えたから気づく事が出来たのだ。
組織の外に出たことの無かった頃は、待っていればいつかチャンスが自分のドアをノックしに来て外に連れ出してくれると思っていたが、実は元々、同じ部屋の中に別のドアがいくつかあって、自分から近づいてドアを開けられる事に気付いていなかっただけなのだ。
チャンスという名のカギを持っていなくても、外への出入りは自由なのだ。
今いる場所を拠点にして、いろんなドアを開けてみるのもよし、外出した先で新たな拠点を見つけるのもよし。
だから、まずは公務員のまま組織の外へ出て視点を増やしてみてほしい。
もちろん本業が疎かにならないようにしなければならないが、大抵の場合はむしろ本業にプラスとなるシナジー効果があるはずだ。
多くの業種で労働力不足が叫ばれている現在は、売り手市場であり、公務員という職業も選んでもらえるように働き方改革や職場環境の改善等、魅力の向上に努めなければならない。
それに伴い、フク(副・複)業の推進や広域連携・異業種連携の推進等、人材の流動性も高まっていくだろう。
転職サイトにアクセスする前に、まずは軸足を公務員においたまま、片足を外に出してみることから始めてみてはいかがですか?
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