【浮世絵と尺八】女虚無僧☆おその
歌舞伎の女虚無僧といえば、お園。
まさにコムジョ(虚無僧女子)代表格の人物だ。
怪力で武芸の達人であるお園。しかも身長は六尺(180センチ)と長身。
そんなお園の虚無僧っぷりを、物語を辿りながら浮世絵と共にご紹介していきたい。
父親の敵討ちの為に、虚無僧姿に身を隠し旅に出たヒロインお園。
物語、彦山権現誓助剣に登場する。
あらすじは、歌舞伎演目案内HPを見ていただければ分かりやすい↓
https://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/1512/
最新歌舞伎大事典によると、
浮世絵に描かれるのは、通称「毛谷村」といわれる九段の場面。
お園の妹、お菊も敵討ちに出るのだが、返り討ちに合い、殺されてしまう。(須磨浦の段)
そのお菊の子、弥三松はのがれ、お園の許嫁の毛谷村の六助に拾われる。
この六助は、お園、お菊姉妹の父親である吉岡一味斎に剣術を教わった弟子であった。
お園は、父親からいずれ六助と夫婦になると聞かされていたが、京極内匠に闇討ちされて父親を殺されてしまい、その敵討ちの旅に出たのだ。
まずは、
六助と弥三松
「毛谷村六助」
寺沢昌次 は、江戸時代中期の浮世絵師。大坂の人。
優しそうな六助に甘えている弥三松といった感じです。
こちらも六助の人の良さが滲み出ている。
顔、怖いけど。
葛飾北広も大阪の浮世絵師。北斎の門人。
静かな山里の六助の住み家「毛谷村」は、九州彦山の麓にある村。現在の大分県中津市。中津市に「毛谷村六助資料館」があるそうです。
こちらはお園の妹、お菊とその息子弥三松。
さて、ようやくコムジョ登場。
六助の家の庭先に、幼子の着物が干してあります。これは迷い子の目印。
お園は、弥三松の着物を見て、六助をお菊の遺児をさらった山賊と早合点してしまいます。
歌舞伎大事典の解説にもあったように、六助とお園が対峙する見せ場。
尺八を振り上げていますが、その他の浮世絵では刀を振り上げている場面が多い。
斬り掛からんばかりのお園!
六助は太鼓のバチで対抗。
こちらは月岡芳年の毛谷村。
「皇国二十四功」
躍動感がすごい。
「大日本六十余州 豊後」
枕屏風を突き出してる?
「歌舞伎座九月狂言」
今度は枕屏風を楯に。
「復讐誓彦山] 」
なぜか、お園の父の仇、京極内匠が門の向こうで見ている。
お次は上方の絵師、春好斎北洲のお園と六助。
「一世一代」
初代市川鰕十郎の毛谷村六助。
六助、余裕です。笑
春好斎北洲とは、大阪の代表的な浮世絵師。上方で最大量の役者絵を残した絵師。
そして最後に、臼のそばで座り込んでいるお園。
六助が許嫁とわかるや急にしおらしくなってしまいます。恥ずかしさのあまり、タジタジとなり、あれこれ変な行動にでて、挙句の果てには臼を持ち上げてしまうという愛嬌をみせてくれます。
お園の虚無僧っぷりは如何でしたでしょうか。お園が、刀を振り上げている場面ばかりが続きましたが、最後にはお園の女性的な面が垣間見れました。絵師や時代によって様々な虚無僧お園が描かれていて見飽きません。
歌舞伎や文楽でも観てみたいですね!
実はその他まだまだ虚無僧姿のお園の浮世絵はあるので、また次回の続きといたしましょう。