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犬と虚無僧

辻立ちをしていて、よく目が合うのは犬だ。
もちろん、リードに繋がれている散歩中の犬のこと。


大人おとなは編み笠が邪魔をして、しゃがまない限り、目は合わない。

子どもも近くに来ないと目は合わない。


犬はこちらを向けば確実に目が合う。


ただし人間と同じく虚無僧に気がつく犬と、気がつかない犬がいる。


殆どの犬たちはチラッと一瞥したら行ってしまうが、時々、目が合ったまま動こうとしない犬がいる。



ん、聞いてくれているのか?

もしや、前世で?


と思いたくなるくらい虚無僧の前から動こうとせず、無理矢理飼い主に引っ張られていく犬もいる。

飼い主も犬に合わせて少しくらい立ち止まって聞いていけばいいのにと思うのだが、立ち止まったら最後おわりとでも思っているかのように、だいたいの飼い主、これは子ども連れも同じだが、無理矢理引っ張って行ってしまう。

子どもの場合は、手をつないでいなかったら親が戻ってきて頭を掴んで連れて行く。恐らくは子どもが何かしでかさないようにとの注意からきているとは思いますが。



もしかしたら、このワンちゃん、
虚無僧の生まれ変わりかもしれないのに…

と、今生の別れを告げるのであります。



吠えられたことは一度くらいあった気がする。



見出し画像の浮世絵はこちらから↓

和田三造氏については後ほど…。



さて、


犬は音楽を聞くのだろうか。


あのビクターの犬の絵はおなじみだと思う。

和田三造氏の描いた犬と同じではないか!

因みに、この犬はフォックステリア系の雑種といわれることもあるが、はっきりした犬種についてはわかっていないそうだ。


解説によると、このワンちゃんは録音されたご主人様の声を聞いているとのこと。

音楽を聴いてるんじゃ無かったのね。


ペット関係のHPによると、犬も音楽を聞くことができてリラックスするらしい。


ただし大きな音は苦手で、音楽も飼い主の反応にもよるとのこと。

知人宅で尺八演奏会をした時、その家のビーグル犬のビーちゃんは、人と一緒に静かに尺八の演奏を聴いていた。聴いていたかどうかは分からないけど、音のする方を大人しくじっと見ていたので聴いていたように思える。そして、やはり人の真似をするのもあるかもしれない。


逆の例もある。

古典尺八楽愛好会に、初めて尺八を習いますと来た参加者の方が、家で尺八を吹くと犬が吠えるので練習出来ないと言っていて、練習出来ない→上達しない→楽しくないのロジックで(多分)、残念ながら来られなくなってしまった。

犬と一緒にお住まいであるなら、犬の居ない間にこっそりと練習するか、もしくは人間が外で練習して、尺八はある程度上達してから聴かせる方が良いのかも知れない。




和田三造氏の描いた見出し画像の「(犬と)虚無僧」は原画が福岡市美術館所蔵とのこと↓



このフォックステリア系の雑種に似た犬は、虚無僧に向かって怪しいやつだと吠えているかのようにも見えるし、飼い主にただついてきた犬のようにも見える。




虚無僧の持つ偈箱には「明暗教会」とある。

明暗教会は1890(明治23)年に、東福寺善慧院ぜんねいんに設立される。善慧院内に虚無僧の団体「明暗教会本部」が設立され、行化托鉢の任免を司ることになった。

この虚無僧は、明暗教会から托鉢の許可証をもらった人なのだろう。


この虚無僧の描かれた『昭和職業絵尽』は第1集、第2集各24枚(合計48枚)を版行されており、以降、戦後に入って1956年(昭和31年)、続編として『続昭和職業絵尽』シリーズ24枚が発表されている。

『昭和職業絵尽』について、城西国際大学水田美術館によると、

洋画家・和田三造(1883~1967)の《昭和職業絵尽》は、中世より続く職人尽絵の伝統を踏まえ、昔ながらの職人から近代化とともに生まれた新しい職業まで、新旧の職にたずさわる人々の様子を描いた木版画シリーズです。当初予定された100図には至りませんでしたが、昭和14年から16年にかけて48図、戦争による中断を経て昭和29年から31年までに《続昭和職業絵尽》24図が刊行されました。

これは全部見てみたい。画集など出版されていなさそうなので、今後何処かで展示を待つしかなさそうです。





和田三造さんぞう略歴

明治〜昭和期の洋画家、色彩研究家 で、 福岡県立尋常中学修猷館2年の時、数学教師を殴って退学処分、そのまま徒歩で上京。黒田清輝の書生兼用心棒となり黒田に師事。

日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」


なんと、

徒歩で上京?! 

修猷館は福岡にある。

すごい人だ。

この徒歩の旅の話を聞きたい。


 
と…、脱線しつつあるので「犬と虚無僧」の話はこの辺で。

あと、虚無僧と動物シリーズがあるとしたら、鳩くらいか。



だーれも聞いてくれていない時、鳩が目の前に現れると、

(鳩ちゃん♡聞いてくれてるのね)

と、心から嬉しい時がある。



鳩が音楽を認識していのるかどうか、知りませんが…。


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kataha
古典本曲普及の為に、日々尺八史探究と地道な虚無僧活動をしております。辻立ちコム活に投げ銭チップしていただけたら嬉しいです🙇