90年代米国テレビドラマ『Xファイル』の思い出と感想
これまでの感想では、過去に読んだ小説でも再読して新たに感想を書いてきました。ゲームに関しては、記憶に頼っています。
さて、今回は90年代にアメリカでも日本でも大ヒットしたテレビドラマの『Xファイル』について、記憶だけで感想を書きたいと思います。
記憶違いになっている部分もあるかも知れませんので、ご承知おきください。ちなみに私が見たのは三期の途中までです。最終話までは見ていません。
Xファイルといえば、このテーマ音楽ですね。
当時の現実と同じ90年代のアメリカを舞台に、FBI捜査官であるモルダーとスカリーの男女コンビが、現代の科学では解明出来ない怪事件の謎に挑むストーリーです。
FBIとは? アメリカは各州ごとに法律や制度が異なる部分が大きいです。日本の都道府県とは比較にならないくらいに、中央政府からの独立性が高いのですね。
当然、警察も各州ごとに独立していますが、特に重大事件で州警察の手に負えなかったり、州をまたがる事件では、連邦警察すなわちFBIの出番となります。
FBIは優秀なエリートたちとされています。同時にかなりの権力、というか強制力を持っています。
そんなFBI捜査官が主人公なのです。
モルダーはかつて妹を誘拐されて、何とか探し出したいと願い、FBIに入局しました。しかし彼が追うのは通常の犯罪者ではなく、あの日確かに見たと信じる、宇宙人なのです。
宇宙人のみならず、モルダーはおよそ非科学的、オカルト的と言われるようなことをよく信じて、それを捜査の対象にします。当然、FBI内部では白眼視され、本来は優秀であるにも関わらず閑職に追いやられているのです。
彼の相棒となるのは、美貌の法医学者スカリー。法医学者は被害者の死体の解剖をして、死因を調べる役割があります。司法解剖と言いますが。
法医学のみならず科学的知識全般にくわしく、事件は必ず既知の科学的根拠の中で説明出来ると『信じて』います。
ちなみに、敬虔なカソリック信徒でもあります。軍人(士官)だった父親を心から尊敬し、父親に恥じない娘でありたいと願っています。
司法解剖だけでなく、モルダーと共に現場で捜査をします。
二人の関係は、友情以上恋愛未満。けれど固い信頼で結ばれており、この二人の関係性の行く末も、ドラマの中で気になる要因だったと思われます。
危険な場所に行き、探索し、事件が起こり対処してラストへ。毎回この繰り返しで一時間ドラマ一話一話が短編小説のような構成です。
ラブクラフトの主人公たちと違って、FBI捜査官として捜査をするという大義名分があり、個人的な動機も多くの人々の共感を生むものになっているのが違いますが。
毎回、解決する部分と、謎を残して終わる部分があります。謎めいた雰囲気を残して終わるのですっきり爽快! な終わり方ではありません。
余韻を残して終わるからこそ、次々に観たくなる、麻薬的なドラマでしたね。
怪事件の背後には、時として巨大な国家権力の陰謀があり、そんな強大な敵の姿も垣間見させます。宇宙人による誘拐にも軍の関与があり、国はそれを隠している。そんなバックストーリーがあり、毎回7割から8割程度は解決する各話の事件と違って、こちらは手強い相手なのです。
そんな軍の関係者が関わっているとされる事件の捜査の折、モルダーとスカリーはモブ的な一般人からこのように言われます。
「以前、国の偉い人がやって来たんだよ。あんたたちのお仲間さ」
あんたたちのお仲間。一般人からすれば敵も自分たちも同じように、強大な国家権力をバックに持つ、頼もしくも恐ろしい存在なのだと思い知らされるシーンでした。少なくとも私はそう解釈しました。
ローンガンメンなる、時にはハッキングも辞さすに国家の暴走を見張り続ける三人の男たちとモルダーは友人同士で、彼らの協力が時に事件解決の有力な材料となります。
こんなわけで、単にオカルト的な怪事件を追うだけでなく、バックストーリーとして国家権力への不信感という現実的な要素をテーマにしたのが、このテレビドラマに深みを添え、大ヒットに導いたと私は考えています。
国家権力の陰謀や暴走に挑む。けれど自分たちも国家権力の一員なのだと。そんな二重写しの構図も味わいがあって良かったですね!
今回はここまでです。読んでくださってありがとうございました。
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