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ジャンプルーキーより『機械人形ナナミちゃん』の感想
今回は、こちらの漫画のご紹介です。ジャンプルーキーに連載中の、現在のところはまだ未商業の漫画です。
近未来の日本が舞台です。人間のような人格を持ちながら、持ち主に極めて忠実な機械人形が実用化されました。
しかしあまりにも理想的な少女や女性に見えるために依存症が多数発生、少子化がますます進み、政府は機械人形を強制的に持ち主から取り上げ、廃棄処分にするようになりました。
こんな社会状況の中、両親を失った代わりにと、親戚から機械人形ナナミを与えられた少女が主人公です。
話が進むうちに、他の機械人形や持ち主に出会います。彼らは機械人形を廃棄されないよう様々な策を練るのですが、やがて恐るべき国家の企みが露見してゆきます。
画力とストーリーはジャンプ編集部から高く評価されています。私は、キャラクターも充分に魅力的だと思いました。
なぜ持ち込みをして落とされたのかは不明です。
人間と変わらない人格を持った機械人形を、対等な人間として扱えるか、が一つのテーマになっているようです。
そのために、主人公の少女を人形依存症にしてあります。彼女は、機械人形を一人の人格として認められず、自分に都合のいい存在でだけあって欲しいと望み、依存してしまう精神疾患です。
それは話が進んでから明らかになります。主人公の少女に共感出来なかった理由、主人公のややネガティブな描かれ方の理由が明らかになります。わざとそう描いていたのだと。とても上手いなと心底感心しました。
しかし同時に、大事な導入部で主人公に魅力がないと思わせてしまう弱点でもあります。キャラクター描写のリアリティが、逆に魅力を失わせているのですね。
主人公と協力関係になるイケメンヤンキーも出てきますが、通常、エンターテインメントならこの手のタイプに求められるケンカの強さが全くありません。
かなり弱い設定で、そのために、彼のパートナーである機械人形のフォウを心底大事に思っていながら(彼は人形依存症ではないのです)自分の力では守ることが出来ません。
素人の推測ですが、このあたりが『商業エンターテインメントとしては』弱点になる部分ではないかと考えました。
しかしジャンプルーキーは、必ずしも商業エンターテインメントに徹した作品だけの発表の場ではありません。
私はこの漫画を充分に楽しく読みましたし、感想を見る限り、同じように楽しんだ人もいます。
『商業エンターテインメント』に振り切るか、別なルートを行くか(その作品に行かせるか)それは個々の漫画家や作家にゆだねられているのですね。
今回はここまでです。読んでくださってありがとうございました。
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![片桐 秋](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/95383560/profile_511e6711bbd8c6504f9b85f26524ba42.jpg?width=600&crop=1:1,smart)