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【クリエイティブ生活】ストーリー展開〜童話の構成を使用する【創作論その13】
創作を愛するcreatorの皆さん、こんにちは。
他の記事はマガジンにまとめてあります。
私の言う通りに書いても、多くの人に読まれるとは限りません。もっとも、多くの人に読まれること、もっと言えば書籍化されて売れる小説の書き方を、ネット上で正確にレクチャーできた人は果たしているのでしょうか?
私がこれまで書いてきたことは、少なくとも数名の読者を獲得し、心静かにその人たちと自分のために小説を書き続ける。そんな目的には合っていると思います。
前回の記事で、「短編を紹介し、そのストーリーを元に別のストーリーを書き上げる」と言いました。その短編には、童話を使います。
童話は構成が分かりやすく、昔から伝えられてきたストーリー展開であり、いろいろ応用が利きます。個人的に、童心に返るのが好きだからなのもあります。
東京創元社の『アンドリュー・ラング世界童話集 第一巻〜あおいろの童話集』から一つ引用してみます。これはヴィクトリア女王の時代の英国で、古い伝説を集めて子ども向きの本として出された物が、日本でも読み継がれて今に至っているのです。
『マスターメイド』という童話です。一部、分かりやすくするために省略してあります。
城から冒険の旅に出た末の王子は、悪い巨人に仕えて働くことになり、無理難題を命じられ、出来なければ殺される運命となります。巨人に入ってはならないと言われた部屋に入ってみると、マスターメイドと巨人が呼ぶ、とても美しく賢い女性がいて、主人公に知恵を授けて助けてくれます。
王子は三回マスターメイドの知恵を借りて難題を片付け、ついに愛し合うようになった二人は巨人のもとを逃げ出します。
二人が逃げたと気がついた巨人は(阪神は)追ってきますが、マスターメイドが持ち出した三つのアイテムで撃退します。
王子はマスターメイドを迎える準備をさせるために先に城に帰ります。マスターメイドの忠告を忘れて禁を破ったために、王子はすっかりマスターメイドのことを忘れてしまいます。実はこれは邪悪な魔女の企みでした。
マスターメイドは王子を待ち続けます。その間、自分に言い寄ってきた三人の身分の高い求婚者を魔法の力で撃退します。
城では、邪悪な魔女の企みで王子は別の女性と結婚式をあげることになりました。マスターメイドも城に呼ばれ、王子にかけられた魔法を解いて、自分のことを思い出してもらいます。
邪悪な魔女を処刑して、めでたく王子とマスターメイドは結ばれます。
シンデレラストーリーの一種です。また、貴種流離譚でもありますね。
これを改変してみます。
夜だけでなく昼も星が見えるステラ村で(この設定を覚えていてくださっていますか?)流行り病が発生し、村の領主の息子である主人公は病を治せる薬を求めて旅立ちます。
街へたどり着くと悪徳商人から法外な値段をふっかけられますが、悪徳商人に商品とされていた奴隷娘は主人公に知恵を授けて、薬を持って主人公と共に逃げ出します。
街を支配する貴族と結託している悪徳商人は追手を差し向けますが、主人公と奴隷娘は二人で度々撃退します。(テンプレート通りに三回でなくともよいですよ!)
そのうち彼らの活躍が、悪徳貴族と対立するもう一人の貴族の耳に入ります。その貴族の青年は主人公を褒め称え、どうか自分に力を貸して、悪徳貴族を街から追い出すのに協力してくれと頭を下げて頼み込みます。
この貴族の青年を三回助けてようやく、悪徳貴族と商人を街から追い出すのに成功します。財産と地位は剥奪されています(あるいは処刑してしまってもかまいません。そこはお好みで。他の部分も自由に変えてください)
貴族の青年は心から二人に礼を言い、村での騒ぎが収まったら、街での高い地位を約束すると言います。
ステラ村の人々に薬を渡すと、主人公と奴隷娘は、新たに貴族の地位を与えられて、その後裕福に、幸せに暮らします。めでたし、めでたし。
と、今回はこうして元ネタから新しいキャラクターとストーリーを作っただけで終わります。
なぜこのようなストーリーにしたのかは次回で。
ここまでお読みくださってありがとうございました。あなたのクリエイティブ生活のヒントになれば幸いです。
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