2023年ヒット曲『そんなビターな話』感想
今回は趣向を変えて、最新のヒット曲に関して思うことを書いていこうと思います。
曲が良いのは言うまでもなく、歌詞がなかなか素晴らしいと思います。
ビターな話と言っても、歌詞にもある通りほろ苦い程度の、苦さ自体がほんのりとした甘さを引き立ててもくれるような。そんな心象風景を歌った歌と思いました。
カカオ80%くらいのビターなチョコレートの味わいでしょうか。
恋愛ソングではあるのですが、ある種の人生観の表れにも思えます。人生観というと大げさに感じられるかも知れませんが、決して大げさではなく、それでいて深みもある雰囲気だと感じました。
恋愛模様や心情をあまり細かく歌詞にせずに、聴き手の解釈にゆだねている部分が多いので、それが奥行きをかもし出しているようです。
軽やかであり、同時にかすかに哀愁もにじませたメロディと相まって、深みを出しているのだと思えますね。
そうした観点から聴くと、甘いばかりではない人生、肩に力を入れずに、ほろ苦さも楽しんで乗り越えていこう。そうしたメッセージソングにも受け取れるのですよね。
ある恋愛ドラマの主題歌だそうですが、そちらは未見です。
ここで世代論や時代論を述べるとかえって的外れになるかも知れませんが、あえて言うと、昭和や平成の初期辺りまでの、『人生の(あるいは恋愛含め人間関係の)苦難を乗り越える事=一生懸命頑張って乗り越える事』ではないんだなと感じました。
私自身、最近になってようやく力を抜いて取り組むのが身についてきたので、とても共感出来る歌詞です。久々に、何度も繰り返し聴きたくなる曲に出会えました。
Spotifyの最近ヒットソングリストを聞き流していても、全体的に熱い感じや激しい感じの曲はありません。でも歌詞の内容や曲調は、前向きだったり元気だったりするようです。
ところで何故この歌がラブソングとしてだけでなく、人生観を歌ったものに聴こえるかと言うと、個人的な主観ではあるのですが、恋愛関係にのめり込まずに一歩引いた目線で見ている感じがするからだと思えます。
さらに出会った時点から、遠い先までかなりロングスバンで見ていますね。楽観せず悲観もせず、淡々としていながら前向きさがある。そんな点が、人生そのものへの姿勢にも感じられたわけですね。
これは本当に個人的感想なので、今の若者がどう聴いているかまでは分かりませんが。
今回の感想はここまでです。読んでくださってありがとうございました。