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私的ヒロイックファンタジーとダークファンタジーのラスト比較
ヒロイックファンタジーとダークファンタジーの違いを、オリジナルの習作を例にして、分かりやすく提示しようと思います。
主人公の力・解決能力が、問題・脅威よりも比較的大きければヒロイック、小さければダークファンタジーとなると、言ってきました。
ここで補足があります。
ダークファンタジーのダークさは、実際に世界が危険に満ちていて、敵が強い、というのもありますが、主に主人公の、ものの見方すなわち世界観の表れでもあります。
解決出来ない要素(それは常に何かしらあるはずだ)により重点を置けばダーク寄りに、解決出来た部分に焦点を当てる、あるいは未来には出来るだろうと考えればヒロイック寄りになります。
とはいえ、個人的な区分けなので、話半分に聞いてくださいね。
さて、ファンタジー小説のラストのみを。まずはヒロイックから。
◆
「ありがとうございました、勇者様」
乙女は涙を流しながら礼を言う。
ここで起きた事件が忘れられることはなく、損害が完全に償われることもない。
それでも明日は来る。
彼女たちならきっと明るい未来を築き上げられるだろう。
勇者はそう信じている。
「まだ、俺にもやれることが残っています」
この王国の復興を見届けるまでは、共に。
「まだ私たちを助けていただけるのですか?」
「無能な王を追放した今、新たに国を治める者が必要です」
「では、あなたが」
「いいえ、それは違いますよ。それは貴女です、王女様」
勇者はそう言って微笑んだ。
◆
次にダークいきます。
◆
「ありがとうございました、勇者様」
乙女は涙を流しながら礼を言う。その胸の内は勇者と呼ばれた青年には分からない。
失われたものが多すぎて、虚無感ばかりがある。
「それでも我々は、前に進まなくてはならない」
勇者は静かに言った。乙女にではなく、自分に言い聞かせるように。
「あの……まだ私たちを助けていただけますか?」
「ええ。やり残したことがありますからね、王女様」
魔王を倒し、無能な王を追放した今、自分に出来る事は限られているが。
それでもやれるだけのことはやろう。
そう、心に決めていた。
◆
と、こんな感じにしてみました。これは単に勇者が楽観的かやや悲観的かの違いだけではなく、実際に世界の脅威・問題も、前者の方がやや小さめでしょう。
そう、思いながら書きました。
思うに、音楽の編曲で短調(暗い)と長調(明るい)を変えられるように、ダークとヒロイックの切り替えは可能です。
ただ、多くの場合、主人公の人となり、他のキャラクターとの関係性、世界観、設定そのものを、多少どころでなくいじらなくてはならないと思います。
皆さんはいかがお考えですか?
読んでくださって、ありがとうございました。
おまけ
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