『魔女と野獣』原作漫画の第4話の感想
繰り返しになるが、私は耳で聞くと内容を理解する能力が落ちる。目で読んだほうが分かりやすい。
だから原作漫画のほうが、アニメ版よりも分かりやすかった。
私とは反対に、耳で聞くほうが、目で文字を読むより理解しやすい人もいるらしい。
そうした人は、動画やオーディオブックなども好んで観たり聞いたりするようである。
話が逸れたが、今回の話はすでにアニメ版を見て結末は知っているため、何と言う皮肉な展開だろうと思えた。
魔女による連続猟奇事件を追う、市警唯一の魔術師であるキーラは、自分の義理の息子と恋人を殺した魔女への抑え切れない復讐心のために、市民に犠牲を出しながらも、聖騎士団に魔女事件の解決を依頼できない。
本来、強力な力を持つ魔女は市警の手に負える存在ではない。魔女事件を専門とする軍事組織であり「世界の平和を守る」とされる聖騎士団に依頼するのが本来の筋である。
キーラのいる街の市長は、おのれの私欲のために独断での解決を望み、聖騎士団の介入を阻んでいる。それにキーラも乗っている状態である。
彼女はあくまでも、自分の手で魔女に復讐をしたいのだ。
キーラは言う。
「誰も復讐など望んでいないことは知っている。復讐しても虚しいだけだということも、復讐に取り憑かれた者がどうなるかも知っている。それでもこの胸の憎しみはどうしようもない」と。
主人公ギドはそれを聞いて笑いながら応える。
「復讐なんて自分がスッキリしたいからやるんだ。復讐は楽しい」と。
結末をすでに知っているので、ここまで述べてきたストーリー展開は、実に皮肉だと言わざるを得ない。
でも復讐をあきらめればいいわけでもないのだよな。どの道、魔女事件はどうにかしなくてはならないので。
聖騎士団が単純に信頼の置ける組織でもないことは、後のエピソードで明らかになる。まあファンタジーのある種の定型的な設定として、『聖』がつく組織だの国家だのは、大抵何らかの問題を抱えているものだ。
もちろん、問題を抱えているからと言って、全否定できるものでもないのだけれど。
この物語の複雑な背景世界の情報は、こうして霧が晴れるように、徐々に明らかになってゆく。
ファンタジーにおいて、現実世界とは違うファンタジーならではの設定をどう説明してゆくかは、いろんな意見がある。
個人的には、こうした静かな感じに進むダークファンタジーには、ある種の不気味さや、それと背中合わせの神秘的な雰囲気が欲しいので、初手から明かすのではなく、徐々に明かされてゆくのが望ましいと思う。
そして謎や未解決要素も残す。全部説明し切らない。そんな塩梅が、この手のダークファンタジーの魅力である。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
また次回の記事もよろしくお願いします。