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帰省と母の非常持ち出し袋

お盆に帰省してきた。

実家に着くと、いつものように母が台所に立っていた。80歳になっても変わらず元気な母は、必ずお昼にカツオのタタキを出してくれる。高知ならではの味わいで、これを食べると「帰ってきたな」と感じる。

食事を楽しんだ後、母が「この前の地震で、非常持ち出し袋の中身を見直したのよ」と言ってきた。地震が多いこの頃、母も危機感を持っているらしい。賞味期限が切れたものを入れ替えたり、新たに必要な物を追加したりしたとのことだ。

しかし、その袋を持ち上げてみた瞬間、ボクはその重さに驚いた。中には水のペットボトルが何本も入り、大量のタオルも詰められていた。どうやら、母は非常時の緊急持ち出し用の荷物と、備蓄用の物資をごっちゃにして考えているようだった。

「これ、背負えるの?」と思わず聞くと、母は困った顔をして「やっぱり、しんどいかもね」と答えた。

津波の避難場所は自宅から1.4キロ離れた高台の小学校。母も「そこまで歩けるかどうか心配」と言っていた。高齢者にとって、体力の問題は深刻だ。必要なものを揃えたい気持ちは分かるが、避難する際にそれが重荷になってしまっては元も子もない。

「とりあえず、避難所まで持って行けるくらいに、必要最低限のものに絞って」とお願いし、何よりも「生き延びてほしい」と伝えた。

母は「わかった」と頷いたが、その表情には、ボクが気づかないところで不安を抱えているようにも見えた。非常時にどうすれば良いか、しっかりと考え、できるだけのサポートをしてあげなければならないと改めて感じた。


思ったこと

高齢の親が一人暮らしをしていると、何かと心配が尽きない。特に災害時にどう対応するかは、大きな課題だ。しかし、だからこそ、ボクたちがしっかりとサポートし、少しでも安心して生活してもらえるように工夫していかなければならないと改めて感じた。

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