強三段・並三段・弱三段

三段の田村康介くん。僕より6歳も若く、当時はまだ十代だった。(中略)見た目からして、いかにもやんちゃ坊主で、先輩にもずけずけとものをいった。「三段にも『つよ三段』『並三段』『よわ三段』があります。悪いけど、瀬川さんは並ですね」

『泣き虫しょったんの奇跡』

サラリーマンから棋士になった瀬川晶司さんの自伝『泣き虫しょったんの奇跡』に出てくる一節である。
同じ三段リーグで戦っている者の評価だからおそらく正しいし、正しいから余計きついと思う。


私が好きな漫画『ヒカルの碁』にはこんなシーンがある。

若くして棋士になった越智が対戦相手の確認をして「ま、とにかく山田さん相手なら楽勝だ」。
その場に現れた山田は当然怒るのだが、対して越智はこう言うのだ。

「口に出そうが出すまいが同じでしょ」
「ボクらはこの先ずっとどっちが強い?どっちが弱い?と言われ続ける世界にいるんだ」

ヒカルの碁

将棋も囲碁もプロの世界は実力がシビアに評価される。
プロの中でもトップに行けるような人は本当に一握りで、殆どの人は「そうではない」自分の立ち位置を早いうちに自覚するのだろう。

そんな世界で一生続ける人って凄いしある意味異常だと思う。


いいなと思ったら応援しよう!