オリジナル小説 ジュンちゃんとヒモ男#2
ヒモ男は甘い食べ物が苦手だ。それなのに、パチンコ屋で勝ったら甘いお菓子の景品を持ってくる。雛子さんも甘い食べ物が苦手なのに、だ。
「俺はパチンコ屋には毎日行くけど、酒も煙草もしない、クリーンなヒモなんだ!」
バカヤロウ! 僕は吠える。
さらにヒモ男は、スマホゲームにも課金をしていたことが判明する。
「課金は俺名義のクレカから落ちてるから、問題ないんだ」
そんな発言をしたにもかかわらず、ヒモ男の通帳残高は4桁になっている。
「亮くん、お金大丈夫なの?」
「大丈夫じゃないよ。取り敢えず、あと10万あれば今月は無事に過ごせるかなあ」
「はい、10万」
雛子さんはヒモ男に、現金を渡した。
「ありがとう、ひなちゃん! これでガチャができる」
雛子さんはトリマーだ。保護犬としてシェルターに預けられていた僕を引き取ってくれた恩人でもある。そんな恩人だけれど、雛子さんは以前、別の男と結婚していたらしい。幸か不幸か、その男との間に子どもはいなかったので、離婚手続きはずいぶんとあっさりしたものだったらしい。
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ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
より良い記事を書いていきたいです。