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オンライン授業で電子工作を教えてみて

来年度も引き続きオンライン授業が続く可能性が高いので、ハードウェアを扱う授業やワークショップを担当される方の参考になれば、と思いまとめてみます。

私は慶應義塾大学のSFCで非常勤講師として「電子工作」という授業を担当しています。Arduinoを使ってプロトタイピングする力を身につけてもらうための授業です。

【履修人数】
2019年は対面で20名程度の学生が履修しましたが、2020年はオンライン開講が決まったので履修人数を10名にしぼりました。

【電子部品の準備】
必要な電子部品のリストを送ってオンラインショップから各自購入してもらいました。マイコンボードは、今年は「バイトができない学生が多いので1円でも安くして欲しい」というSAさんからの声を聞き、Arduino UNOを、Seeeduinoでも可としました。

【授業形式と手元カメラ】
授業はZoomで行いました。学生には「顔を映す必要はないので、手元カメラを用意してください。」と伝えて、私は手元を見ながら回路について配線などをアドバイスしました。webカメラを持っていない人が多いので、「スマホやタブレットを手元用カメラとしてZoomに参加し、PCで私の共有する画面を見る」というように、ほとんどの学生が2アカウントでZoomに参加していました。
私も書画カメラを用意して手元の様子をうつしていました。こちらの4K書画カメラを使ったのですが、細かい回路なども鮮明に映せるので大変助かりました!
https://amzn.to/2MhO91Z

【授業内容】
毎回テーマごとにArduinoのExampleを扱い、ミニ課題としてExampleを応用した作品をつくってもらいました。提出はDropbox Paperでプログラムと動画をまとめてもらい、Paper上でコメントすることで、添削をしました。
授業に使用するスライドは毎回授業前にPDFをダウンロードできるようにして、授業後にはZoomの録画も共有しました。復習や課題準備のために見返す学生が多かったようです。

【Arduinoとオンライン授業】
Arduinoはオープンソースプロジェクトなので、プログラムやライブラリがweb上にたくさんあがっているので、オンライン授業ととても相性がよかった、ということは言うまでもありません。Arduino.CCのLearningページや、リファレンスサイトなど学生が自分自身で調べられるような手段をたくさん紹介しました。

【コミュニケーション】
Slackのワークスペースを授業でつくり、質問はDMで受け付けました。出席や授業の感想はGoogleフォームに入力してもらいました。10名という少人数なので雑談できるくらいのコミュニティを作りたいと思ったけど、それには至りませんでした。

【できなかったこと】
はんだづけは教えられませんでした。以前乙女電芸部として公開した動画を共有しましたが、直接伝えたいコツが色々とあります。

落ち着いたら授業とは関係なく集まってそこで教えられたらな、と企画中です。

【最終課題】
「自分のほんとうに欲しいものをつくる」というテーマに対して、それぞれが自分と向き合って考えてくれました。SFC生は自分のことと言いつつ、まわりの誰かのものを考えてしまいがちなのですが、今年は全員自分のためのものを作っていました。良くも悪くも自分のことを考える時間が多かったんだなあ、と痛感しました。
学生のひとりが最終課題をレシピとして公開していますので、どんなものができたのかぜひご覧ください!
https://medium.com/avant-garde-kitchen-lab/semi-automatic-tea-ceremony-c6e369cea7c9

【感想】
最初のArduino IDEの開発環境を整えるところで少しトラブルがありましたが、それ以降は対面授業よりもむしろスムーズに進みました。教室を回らずとも全員の手元が確認できるので、ブレッドボードで同じ回路をつくる、という授業にはピッタリだと思います!
来年度もオンライン授業とオンラインワークショップでハードウェアを教えることを試行錯誤していきたいと思っています。
オンラインワークショップについてのTipsは以下の記事に書いていますので、興味のある方はご覧ください!
https://makezine.jp/blog/2020/07/otoden_tsushin_05.html


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矢島 佳澄
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