かすみを食べて生きる 44 :はじめての嚥下造影検査
脳梗塞 発症1か月と11日目:リハビリ病院21日目
食事訓練をかけた嚥下造影検査、当日。
コンディションは残念ながら最悪だった。
『かすみを食べて生きる 序文と目次』
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発症1か月と12日目:リハビリ病院1か月目㉒>
検査に向けて
本日は初めての嚥下造影検査。
検査は午後から。
午前中に下浦さん(仮)の言語聴覚のリハビリがあり最終確認。
月経が来ていてコンディションが最悪であることを伝える。
必要があれば看護師さんに相談して痛み止めをもらいましょう、しんどいのはどうしようもないので、できる範囲で頑張りましょうということになった。
昼食後、看護師さんに経鼻で月経痛対策の痛み止めを入れてもらった。
検査のために、鼻に入っている経鼻のチューブを抜いてもらう。
いざ、検査へ。
はじめての嚥下造影検査
嚥下造影検査はレントゲン室で行う。
言語聴覚士の下浦さん(仮)も一緒にX線室に入り、私の口に飲食物を入れてくれる。
操作室側には大勢のスタッフ。
放射線技師さん
リハビリ医の四谷先生(仮)
病棟から連れてきてくれた看護師さん
摂食・嚥下障害看護認定看護師の早坂さん(仮)
言語療法課の課長谷口さん(仮)
歯科の先生、歯科の看護師さん
管理栄養士の竹中さん(仮)
これまで代打で入ってくれた言語聴覚士さん数名
わかる範囲、見える範囲でも10人近く。
お会いした事がなさそうな方もいる。
いつも穏やかな下浦さん(仮)の顔にも少し緊張が見える。
これはこれは、なかなかの一大イベント。
はじめに撮影位置を入念に確認。
普段骨などを撮影する時、レントゲン撮影は一瞬で終わる。
造影検査では放射線をしばらく当て、飲みこんだ飲食物が口からのど、食道をどう通るか動画撮影する。
X線室のスピーカーから、レントゲンを操作する技師さんの指示が聞こえる。
その指示に基づいて言語聴覚士の下浦さん(仮)が私の口に飲食物を運んでくれる。
被ばく量を最小限に抑えるためにも、レントゲン技師さんとX線室にいる言語聴覚士の下浦さん(仮)とが連携してスムーズに検査を進めることが重要であることがわかった。
そして実に42日ぶりの私のお食事は、全体的に白い!
なぜならレントゲンに映るように、バリウムを混ぜたりまぶしたりした検査食だから!
下浦さん(仮)からあまりおいしくはないですよと聞いていた。
おかげで期待値が下がりすぎていて、そこまでまずいとは感じなかった。
それ以上に固形物を口にすることができる喜びが勝った。
最初は水分から。トロミのついたもの、ついていないもの。
造影剤はほんのり甘く、見た目は白いけど黒い味がした。
首を左に向けて飲むのと、正面で飲む2パターン。
首を左に向けると飲める。正面でも水分はなんとか入る。
その後ゼリーやマンゴーペーストを試す。
マンゴーペーストはバリウムが混ぜてあるけどマンゴーの主張が強くしっかりマンゴー味!
ペーストは左を首に向けて何度か嚥下すると入っていく感覚はあった。
その後もいくつか食べて、最後に試したのが写真手前真ん中の刻みあんこ。
味もまあまあ、あんこ。
でもこれはあんこの皮がのどに引っ掛かって飲みこみきれなかった。
まだ早い感じ。
撮影は途中で向きを変え、正面からと横からの2種類を撮影した。
X線室にも下浦さん(仮)の確認用に、撮影している動画が見れるモニターがおかれていて私も見ることができる。
骨まで透けている自分の今の姿を見るのは不思議な気分。
飲み込みの瞬間を見たいけど、飲みこむときは少しうつむくのでモニターが見えず残念。
ただ嚥下が終わって正面を向いてモニターを見た時、喉に物が残っている状態はよく見えた。
感覚的にあごの左側つけ根ら辺に違和感があって、造影された自分ののどにも同じ場所にくっきり黒い影が残っている。
自分が思っている感覚と合っていた。
何度か追加嚥下をしたり、水分をとってもう一度飲み込んだりすると、その違和感はなくなり、モニターの影も食道に落ちていくのがわかった。
撮影室に入ってから出るまで1時間程度で検査は終わった。
念のため看護師さんが喉を吸引してくれた。
終わると疲れがどっと出た。
結果発表
のどの左側の通りは悪いけど、右側はしっかり通っていたとのこと。
心配していた誤嚥もある程度むせて出せているので大丈夫そう。
のどに残留感を感じたら、お茶を飲んでしっかり流すことが大事。
検査前には通りが悪ければ食道に風船のようなものを入れて膨らまし、物理的に広げて通りをよくする「食道入口部バルーン訓練法」を行う可能性があると伝えられていた。
今回の検査の結果からそれは見送られることになった。
そして首をしっかり左に向けて、食事訓練を始めましょうということになった。
しばらくはお昼ごはんだけ。
まずはミキサー食から。
いよいよ明日から、ごはんが始まる!!
ガリガリチャレンジ#8
今日はじめての嚥下造影検査を終えしんどくてお風呂を見送った私が、氷菓子を口に入れて味わいそっと口から出して(貴族食べ)、ガリガリ君の当たりを狙う。
いざ!
そろそろ、ドキドキもしなくなってきましたね。
ーー振り返って
嚥下造影検査はギャラリーの多さにびっくりしました。
少し緊張して、普段ならもう少し飲めるんだけどなぁと思いました。
そして検査になってはじめて気づいたのが、この緊張の中で、しばらく水分しか通してないのどに久しぶりに固形物を入れるということでした。
こんなにギャラリーがいるなら、少しは事前に練習したかったな。
いやいや、固形物をのどに入れても大丈夫かどうかを確認するための検査だから、事前練習はできないのだけれども。
そして発症から食べ物をのどに通すまで42日かかりました。
私の入院期間はほぼ90日だったので、前半ほとんどは口からの食事が摂れていなかったことになります。
当時の私は絶対に食べれるようになって家に帰ると思っていたので毎日必死で、こんなに時間がかかっているという感覚がありませんでした。
できない事や過ぎた日々には目もくれず、ただ前だけを見て走っている感じでした。
これができたのは私から子育てタスクを切り離しリハビリに集中させてくれた、夫の奮闘があってこそでした。
感謝以上に、頼む!頼むから帰るまで持ちこたえてくれ!という懇願の方が大きかったです。
主戦場はリハビリ病院ではなく家庭という認識でした。
明日からはいよいよ食事訓練編がスタート。
嚥下訓練食の食レポブログになるかもしれません。