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かすみを食べて生きる 33 :ppのなごり雪はハード
脳梗塞 発症31日目:リハビリ病院10日目
・食事:脳梗塞(ワレンベルグ症候群)の後遺症のため、嚥下ができなくなり絶飲食。食事は鼻からの経管栄養。
・状態:歩行訓練中。日中、歩行器自立。終日、車いす自立。
・嚥下:嚥下訓練中。首を左に向ければごく少量の水を飲み込める。
歩行訓練は順調に進み、この日は歩行器なしでトイレに行くことが解禁となった。
そしていよいよ初戦の日程が決まった。
『かすみを食べて生きる 序文と目次』
<発症30日目:リハビリ病院1か月目⑨
発症1か月と1日目:リハビリ病院1か月目⑪>
造影検査の日程決まる
感染症対策で見送られ続けていた嚥下についての検査の日程がやっと決まった。
来月上旬。今日から11日後。
言語聴覚士の下浦さん(仮)と今後の目標を立てる。
11日後の検査結果をもって、来月中旬からの、食事訓練開始を目指す。
再来月中には3食口から食べれるようになる。
恐らく、これが最短。
現在言語聴覚のリハビリでは、シリンジで計った緑茶1mlを飲む練習をしている。
喉の左に麻痺がある(と思われる)私は、飲みこむとき首を左に向けてのどの右側を通すことで少量の水分を飲み込むことができる。
最近は1mlであれば正面を向いて飲むこともできるようになってきた。
今日は2mlを試した。
1ml増えるだけでかなり違う。
左を向けば2mlもいけるが、正面を向くとむせてしまう。
でも1mlも少しずつ通るようになったかたら、繰り返せば2mlもいけるはず。
検査までに仕上げていきたい。
本日のお風呂戦果
現在私は、看護師見守りのもとシャワー浴のみ許されている。
脳梗塞の後遺症で頭を大きく動かす動作はめまいが起きるため、首を動かさずにシャワーを浴びる技を磨いている。
はじめてのシャワー浴では途中でめまいが起きていたが、今日は洗いきるまで気分が悪くならずにいけた。
しかしタイムアップ。
入院患者の入浴時間は分単位で決まっている。
時間が足りず最後身体を拭くところからは看護師さんの介助が入った。
髪もベッドに戻って乾かす。
あー、もう一歩だったのにー。
夜のウクレレタイム
この日はお風呂がありスケジュールがタイトだったため、日中私はウクレレを弾く時間がなかった。
少し弾きたい。
夕食後、歯みがき、洗濯も回収してたたみ終えて、夜の検温が終わったのが午後8時半。
作業療法士の吉本さん(仮)、デイルームで弾いてもいいって言ってたな。
デイルームは10時まで開いていてテレビもついている。
よし、行こう。
私は歩行器にウクレレをひっかけて昼間に写譜したノートを持ってデイルームに向かった。
デイルームではNHKの夜のニュースが流れていた。人は少ない。
広い部屋の、テレビから一番遠いすみっこで、椅子に座って壁に向かって小さくウクレレを鳴らす。
人に聞こえてもいいように季節感のある曲を持ってきたけど、ほとんど聞こえてはなさそう。
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人の迷惑にならないように、小さい小さいピアニッシモで弦を鳴らし歌う練習。
左手はしっかり弦を押さえながらも、右手はできる限り優しく弦をはじく。
喉も絞って絞って歌う。
これはいいリハビリになりそう。
ただこの曲、重い。
最初のフレーズが好きでささやくように歌えるかと思ったら、最後に向けてぐいぐい歌い上げる。
小声でもフルコーラス歌うとすごい運動量。
あんなにライトに歌ってるイルカさんすごい。
ぐったりして病室に帰る。
人の耳を気にしたのがいけなかった。
せっかくウクレレだし、もっと軽い感じで楽しく歌える曲を探したい。
窓が開いている
病室に帰ると、向かいのベッドの楠本さん(仮)の横の窓が少し開いている。
大丈夫かな。
いつも暑い暑いと言って汗もかいているようだから、窓が開いてるくらいが涼しいのかな。
夜はまだ結構冷えるけど。
看護師さんが来たら閉めてくれるかな。
ーー振り返って
いよいよ造影検査の日程が決まりました。
検査でOKが出れば、食事訓練に入れます。
短期的な目標ができると、そこに向けて全力集中できます。
お風呂は入るたびにめまいが起きるまでの時間が長くなったので、進歩を感じました。
ただ20分で頭から足まで洗って髪を乾かしきるのは、今でも普通に無理です。
夜のウクレレタイムが始まりました。
一日の最後に少し気分転換できるのはありがたかったです。
そして窓が開いていたんです。
なぜ気づいたときにすぐ看護師さんに言わなかったんだ、私。