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眠りにつく頃

ふかふかのベッドに腰掛け、タオルケットを足に巻き付け、使い古した枕を抱き抱えて思いに耽る夜。

彼に会いたいななんて考えた。

まるで女の子。いや女だけれども、ここまで女の子らしいことをしているのは少し自分でも気持ち悪く感じる。

彼のことを考えながら、今日も夜を過ごす。あの人に最後会ったのは一ヶ月前、そろそろ会いたい。でも、彼と私は恋人ではない。友達以上恋人未満みたいな、ふわっとした、言葉では言い表せないような関係。

彼はいま遠くにいて、しばらく帰ってこれないのだ。お仕事があるからしょうがなく、私は待つことしかできない。待っている間、考えていることしかできない。たまにの連絡は唯一つながることができる瞬間。でも、今向こうで何してるのかなんて、彼女じゃないから聞けない。もどかしい。頭は彼で埋め尽くされているのに。

「遠距離って大丈夫?」「おじさんだけど、会ってくれるの?」

彼から問い掛けられた言葉の数々、私はもうあなたが好きなのに、今更そんな条件みたいなものがプラスされたところで彼から溶け出す数多の事実は付属品でしかない。寧ろそうした細部まで愛せるというのに、気にしてしょうがない彼は、私に信頼の文字をまだ浮かべることができない。私たちはまだそこまでの段階に踏み込めない2人なんでしょう。

能は恋に落ち、見事に溺れている。そしてその事実は受け入れることに徹して、沈んでいくことを許している。むしろそうなることを望んでいるかのように。

しかし私は言えないでいる、本当の気持ちを。いつも隠してしまう自分が嫌になる。打ち明けたい。ケータイ片手に彼を思う夜はいつも長い。既読はついているのに返事は来ず、声を掛けたいのに掛けられない。

溜息。

素直になりたい。

彼のことを考えて、いつの間にか眠りにつく。沼底を目指して。



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