【詩】出航
埠頭はすでに帳を降ろして
真新しい船底が、赤く照らされている
呼び笛の合図が鋭く響き
口を開けた船腹に、積荷の列が導かれる
太い音色の汽笛が鳴ると
艫綱が解かれて、鼓動を高める
煙のしぶきを噴きあげる
岸壁のむこうは、漆黒の闇
船出を見送るのは、青い標の点滅だけ
東に向かう夜行船は、波に漂う水蜘蛛だ
黒い海原を、頼る灯もなく小さな舵で
約束された夜明けを信じて
行く手に臨む水平線に、朝の光が迸り
明々と、舳先を黄金に照らすだろう
神々しい、日の出の炎を浴びるだろう
ヨーソロー! 希望に続く遥かな道
いざ行かん、明日を目指して
©2023 Hiroshi Kasumi
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お読みいただき有難うございます。
よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。