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【詩】夢から醒めて

君は
前触れもなく
あの街角に立っていた
駅行きのバスを待つ あの道で
何も言えず 見ているだけの僕に
口を利いたこともない君が
責めるように 何かを言った

毎朝 仕事に向かう 同じ時間の
同じ場所に 居合わせて
いつの日からか はぐれてしまった
あの町を 遠く離れ
もう二度と 会うはずもなく
思い出すことも なかったのに

夢のうつつで たじろぐ僕は
不確かな 動悸に打たれている
古びた 思い出の幻影は
引きとめようもなく
とばりの向こうに遠のいていく

©2024  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。