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【詩】寒い朝

朝焼けの、張りつめた硝子の縁に
毀れ出た金の矛先が
ほどなく、炎熱の矢を放ち
砕かれた破片が、目の前を散っていく
変容は、なにごともなく失なわれ
ほのかに包む、ぬくもりが
安堵の息をついている
ほどけ始めた手のかじかみが
萎縮の扉を開けはなち
目覚め、震えるこわばりに
癒しのしぶきが降り注ぐ
衝動の背に羽ばたく翼
解放という名のカタルシス
ひしめく喉が、歌いはじめる
無数の、素知らぬ顔のざわめきが
諦らめと、拘わりを抱えて
日陰の奥に埋もれていく
晴れた朝は、奇跡に満ちている
眩しい太陽の坂道には
鼓動と、ほんの小さな哀しみがある

©2025  Hiroshi Kasumi

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加澄ひろし|走る詩人
お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。