私が刀ミュの源氏兄弟に会うまで①
新型コロナウイルスが流行して数ヶ月。
デイサービスに勤務する私にも、様々な余波がやってきた。
私は北海道在住だが、まず住んでいる地域の大きい病院にコロナ感染者が溢れ封鎖、近所にある高齢者住宅内で感染が広がり、普段利用しているスーパーでもコロナウイルス感染者が現れ封鎖。
職場周辺の介護事業所でも職員の感染、濃厚接触者多数などなど…
緊迫した毎日。
日々対応に追われていた。
更に追い打ちをかけるかのように、退職者が続出。
ベテラン勢がこぞって辞めてしまい、残った私にその人達の仕事量が回ってきた。
普段の通所でも大変なのに、終わってからの事務作業。引き継ぎなんてあってないようなもの。
朝8時に出勤して、帰るのは20時すぎがデフォルト
月末になると日付が超えるか超えないかまでの作業。
正直発狂しそうだった。
介護職員としてまだ2年目の私に、出来る量が超えているのではないかと毎日思っていた。
幸い、土日は休みだが疲れて動けない事が多い。
出かけたとしても人の多い都市部に買い物にも気分転換にも行けない、行ったとしたら職場に報告しないといけない。
気軽に息抜きも出来ないのか
なにもかも限界だった。
そんな時だった。
『ミュージカル 刀剣乱舞』に出会ったのは
刀ミュの説明は割愛する。
ネットで調べたら大体でてくるから。
ステイホーム期間に、刀剣乱舞の舞台とミュージカルが無料配信をやると言うことをTwitterで知って、どこにも行けない私は配信とたまたま弟が入っていたdアニメストアでいくつか見てみることにした。
舞台 刀剣乱舞 (刀ステ)は実は観劇したことがあった。
東京に上京していた時、たまたま刀剣乱舞が好きな子と一緒に舞台のチケットが取れて観に行って「凄い世界観がしっかりしているな」と感動したのを今でも覚えてる。
だが、刀ミュは全く観たことなかった。
存在は知っていたが、物語の中で不自然に歌が挟まって集中出来ないなどと変な偏見を持っていたのだ。
更に私の中でのミュージカルは 『テニスの王子様』の城田優さんや加藤和樹さん、宮野真守さんやKENNさんがが出ていた頃で止まっていた。
最近の2.5次元ミュージカルの再現度は凄いと騒がれていた時も、どこかしらに抵抗感があった。
そんな私が2.5次元ミュージカルを観ようと思ったきっかけが『髭切』『膝丸』の存在だった。
刀剣乱舞リリースからプレイしていた私は、源氏の重宝と呼ばれる2振りの兄弟の関係性や逸話にどこか惹かれていたのだ。
惹かれててもドロップ運が悪く、2振りを手に入れないまま放置していたのだ。
そしてその2振が初めて出てきた公演が『つはものどもがゆめのあと』
その当時の2人は未成年で「刀ミュに未成年出てきたの!」とオタク仲間から風の噂に聞いた程度だった。
刀ミュは何作かあり『つはもの』は単体でも観れる続きものだということで、初っ端から視聴した。
物語が進むにつれ、登場した髭切に…
息が止まった
あのゲームの優雅な立ち居振る舞いが画面から飛び出して動いている。
凄い… 髭切だ
感動して、一時停止してしまった。
その後に膝丸が登場して、そこでも画面を一時停止した。
全体的にスラッとした印象の膝丸だが、膝丸を演じる高野洸さんがピッタリとハマっていてこちらも膝丸が確かに存在していると感じた。
1部では物語パートということを知ってはいたが、途中で歌が入っても違和感がなく、スっとそのシーンに入り込んでいるような観ていて飽きない、今までの違和感を感じない。刀ミュの世界観にすっかりハマりこんでいた。
そして2部のLIVEパートになった瞬間、2振りの真骨頂が爆発。
髭切演じる三浦宏規さんはバレエ経験者ということもあり、綺麗なターンや指先まで優雅さを兼ね備え、尚且つ激しい曲調では荒々しい1面も見せる、万華鏡のような髭切だった。
そして膝丸演じる高野洸さんはダンスのレベルが高く、長い手足や長身を生かしたアクロバットな動きが膝丸らしく髭切が柔なら膝丸が剛という、絶妙なバランスの2人に見終わった後に、いつの間にかブルーレイを購入していた。
そんなこんなでまんまと策略にハマった私は、dアニメストアで片っ端から2振りが出ている作品を見続け…
そして念願の『髭切膝丸双騎出陣 2019』が配信された。
配信当日に私は終わらない仕事を何とか片付け、家に帰って寝落ちする準備万端で視聴した。
そこでまた驚かされた。
つはものや真剣乱舞祭とはまた違った入り口で、一瞬「あれ?これって髭切膝丸だよね?2振り出てこないの?」と疑問に思った。
その後何回か視聴してようやく源氏にゆかりのある曽我物語ということに理解した。
髭切膝丸と姿、形は似ているが、また違う2人の魅力に驚き感動し、タオルがべしょべしょになるまで泣いた。
そして、LIVEパートはようやく髭切膝丸がやってきて、歌もダンスもパワーアップした2振りにただただ圧倒されていた。
もっと色んな言葉があるのに、すごい しか私には言えなかった。
それくらい目が離せなくて、楽しくて、かっこいい2振りに釘付けだった。
そして大千秋楽の挨拶で再演の発表を知って、「今年再演やるんだ!」と飛び上がるほど嬉しかった。
だが、ここでコロナウイルスの事が頭をよぎった。
その状況下で本当にやるのか。
丁度そのころに刀ミュのパライソ公演が中止と発表となり、私の不安は余計に煽られた。
出来ることならやってほしい、観にいきたい。でも演者やスタッフのリスクがあまりにも高い…
そんな不安な気持ちのまま、私の仕事も徐々に過酷になっていった。
介護度が高い人達が、身体機能の廃用を防ぐため利用回数を増やしたり、新しく入ったりと対応に追われ、ただでさえ人が居ないのにサービスを提供し続けるのは、上の人間が赤字だからと言っても、身体的にも精神的にも限界を感じた。
そして…双騎出陣 再演日程が発表された。
あぁ、やるんだ…やってくれるんだ…
その発表を知った時、終わらない仕事真っ只中で、嬉しくて堪えきれずトイレに駆け込んで泣いた。
目を腫らしたまま、仕事に戻った。
憂鬱な仕事が、ほんの少しだけ楽になった気がした。
ただ公演に行くとなればチケット取りがある。
私は全てのチケット抽選先行日を手帳に書き写して、必要な会員登録、ファンクラブ入会、概要や希望公演日を全て把握した。
友達と日程を合わせて、お互いにチケットを取れるよう祈った。
結果
FC先行 全て落選
ネルケ先行 全て落選
ゲーム先行 全て落選
まさかここまで刀ミュの人気が高いのかと痛感した。
声優イベントの倍率の比じゃないなと思った。
そして最後の望みを掛けた ローチケ先行
丁度、送迎から帰ってきて疲労困憊のなかメールBOXを開き
2枚目の落選通知のあと、時間を置いて届いたメールを開いた
…そこには 当選の文字が
1公演だけ当たった
誰もいないのをいいことに、私は手を叩いてガッツポーズした。
あぁ、あの源氏兄弟をこの目で見れるんだ。
徐々に嬉しさが込み上げて、顔が緩みっぱなしだった。
残念ながら友達は落選してしまったが「楽しんできて」と温かく背中を押してくれた。
コロナウイルスで有給すら取れていない現状で、毎日の仕事が嫌で嫌で仕方がなかった私に、楽しみが増えた。
公演は2ヶ月後、それまでの間に徹底的に体調管理を行い、消毒や検温、うがい手洗い、仕事から帰ってきたらすぐにお風呂に入るなど、自分でできる予防を全てやった。
更に美容鍼灸を施術するものとして(東京にいた時に美容鍼灸を7年半やっていた。今現在も細々とやっている)できる限りのセルフケアとダイエットをした。
見られている訳では無いけれど、私が思う最高の自分で2振りに会いたかったから。
双騎に向けて準備が何よりも息抜きだった。
双騎の全公演配信が決まった時、飛び上がるほど嬉しかった。
チケットが当たらなくても観れることに、運営に感謝した。
休みの日だけの視聴だったけど、2019とはやはりソーシャルディスタンスを意識しての公演で、内容は現在も公演中の為自粛するが、更に深みが増したものとなっていると舞台素人は思った。
『これが今度生で観れるんだな』
そう思いながら、遠征を心待ちにしていた。
だが、私が遠征する前や当日に更なる困難があることを私はこの時想像すらしていなかった。
その2へ続く。