意思能力
こんばんは。
司法書士なんていう名前のせいで、書類作成するのが仕事と思われがちな私たちですが、疎かにできないことがあります。
それは、法律行為が有効かどうかの判断です。
タイトルの「意思能力」とは、自分の行為の結果を弁識し、判断することのできる能力のことをいいます。
つまり意味が理解できる能力。例えば0歳児とか1歳児とかは、まだ意思能力がありません。
意思能力がない人がした法律行為は無効です。
「依頼人は寝たきりで、発言や発信することができない。」
「重度の認知症で自分が誰なのかわからない。」
・・・でも登記してほしいんです、という場合には、残念ながら、登記よりまず後見の申立てというお話になります。
上記のようにはっきりした状況は稀で、意思に関しては揺らぎのある難しい分野だと感じています。
不動産の売買決済の立会の場面でも、今日は「売ります」と仰ったのに、明日には「売るなんて言っていない!」となってしまわないだろうか。遺産分割協議書を作成したけれど「他の家族が勝手にやったから、自分は知らん」と言われてしまうと、司法書士として”意思の確認は十分に行ったのか”と職責を問われ得るのです。
ドラマ「地面師たち」のお陰で、本人確認については最近かなりご理解いただけるのですが、意思確認については、まだまだ世間的な認知度があまり高くない気がします。
書類作成も難解なことはありますが、意思の確認に関して、多くの司法書士が今日も頭を抱えていることと思います。