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権利証

こんばんは。

不動産の権利証って聞いたことがあると思います。

不動産の所有者であることが証明される、あの大切な冊子です。

不動産を売却したり担保設定したり権利を抹消するときに必要となります。

でもこれ、「なくてもなんとかなる」が独り歩きしてしまっているかもしれません。

権利証がない場合、代替的に次のような方法があります。
①事前通知による方法
②資格者代理人の本人確認情報作成
③公証人の認証制度

売買の場合通常上記②を選択します。

上記②の場合、司法書士が目の前の人、多くの場合その日初めてお会いするような関係性の人を、「不動産の所有者に間違いない」と確認する極めてリスキーなお仕事のため、司法書士報酬が8万円~15万円くらい(不動産の売買価格や融資額、権利証が一部存在するかすべて紛失しているかなど状況により異なります)加算されることが一般的です。

お金持ちだからいいんです、という方もいらっしゃるかもしれませんが、どうか捨てないでください。たまに相続登記で使用することもあるのです。

相続登記で、亡くなった方の登記簿上の住所地が、住民票の除票にも戸籍の附票にも改製原戸籍の附票にも載ってこなかったり、そもそも公的証明書が保管期間経過で廃棄されていたりすることがあります。

この場合、登記簿上の被相続人と、戸籍上の被相続人が同姓同名なだけで別人かもしれないという仮説に基づいて、あの手この手で「同一人物である」ことを証明する必要が生じます。

その一手段として、権利証が非常に役に立つことがあるのです。

そういうわけで、権利証は大切にしていただきたいのですが、大切にしていただけないのにも理由があろうと思います。

例えば本人申請の場合、権利証は法務局から紙ぺら1枚で交付されるので紛失しやすいと思います。

また、司法書士が下請けになりすぎている現状では、権利証の大切さを力説するタイミングがなかったり、その手間を省略してしまっている司法書士も多いと思います。気を付けます。

最後に、もうそろそろ紙保管の時代ではないですよねというご意見もあろうと思います。現代の権利証は「登記識別情報」といい、大切なのは暗号部分ですので、この暗号さえあれば大丈夫なはずなのですが、司法書士側に暗号を復号するシステムはないので、暗号だけ渡されてもその不動産の権利証かどうかが判らないというのが正直なところです。やはり現状は紙で保管していただくのが良いのかなと思います。

以上、権利証は大切に保管してくださいというお話でした。





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