実話:母はホームレス(後半)
公園まで母に会いに行った。
その公園は池や広場や色々な区間が集まった広い公園で路駐している
車もたくさんあった。
母たちが車を停めていた場所は駐禁の取り締まりがゆるくて長時間
路駐していてもほぼほぼ平気だった(当時は今ほど厳しくなかった)
母だけ出てきてクソ親父は車の中にいるのが見えた
いくらかのお金を渡し、はなしをした
部屋を借りるためのお金を貸してほしいと言われた。
当時は今のような敷金礼金ゼロなんて物件はなく必ず敷金礼金が
必要だった。相場は30万前後だったか・・
貸してくれと言われても当時20歳そこそこの娘にそんな大金はなかった
それでなくとも母にお金を貸し続けているためわたしも生活はギリギリ
だった
私「そんな大金わたし持ってないよ・・」
母「じゃあ あのねお父さんの知り合いに金融屋さんが
いてそこの会社でかすみの名前で借りてもらえない?」
私「え?なんで私の名前? 私が借りに行くの?」
母「もうお父さんの名前も私の名前も借りられないの。
ブラックリストに載ってて。その知り合いの人が娘さんの名前
なら貸してあげられるって・・
もちろん事情を説明してあるから名義はかすみだけど返すのは
お父さんだから。もう絶対に迷惑かけないから・・ 」
私「名義はわたしで返すのはお父さん・・。 ごめん考えさせて」
母「ほんとにこれがもう最後だから。あんたにはもう迷惑かけないから
お願いします。これがもう最後だから・・・お願い・・。 」
母は私に土下座をした。
わたしは初めて母に土下座をされたのであった。
この時のことは公園で話したのか私の家に母がきて話したのか
記憶が少し曖昧なのである。キツイ出来事は私の中でオブラートに
包まれてるのか歳とともに忘れているのかわからない。
わたしはあんな母の姿は見るのもつらくて切なくて虚しくて
これまでずっと[お金がないお金がない]を見続けて、
子供のころからずっとお金の心配をしてきてクソ親父が
どんどん落ちぶれていくのを見てそれでも別れない母。
母たちにもう総額いくら貸したことか。
【このままではわたしが潰される・・でもわたしの唯一の家族の
お母さん・・見捨てることなんて出来ない・・でも
このままでは・・・私が潰れる・・・なら
いっそ死のうか・・でも私が死んだらお母さんは頼る人が
いなくなる・・悲しませてしまう。
ならお母さん達を殺して私も死のうか・・
いや・・それとも縁を切って見捨てようか・・・。
お母さん達を殺して自分も死ぬか・・・見捨てるか・・ 】
わたしは悩みに悩み落ちるだけ落ちた。
そもそももう何回も死にたいと思いカッターを握りしめ傷をつけたり
その度、残された母はどうなってしまうんだろうと悩み
私の根底にはこれまでずっと、
【砂漠の砂になってサラサラと消えたい・・消えて無くなりたい・・】
と消えたい(自殺)願望を持っていた。
未来には一切希望は持てず、みじめで虚無なことばかり
苦しいことばかり辛いことばかり、一寸先は闇。
いや既に暗闇にいるのだ。子供のころからずっと。
結局わたしは、母を見捨てることも出来ず殺すことも出来なかった。
そんな私は母に言われた金融屋さんでお金を借りることを承諾した。
次回「名義貸し という名の借金」