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【中編】誑し込むには十二分(完結済み)

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夏の甥と叔父 ホラー/死体埋め グロテスク表現有
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#死体埋め

【創作小説】誑し込むには十二分(1)「死人に口なし」

 いつまでも渋っていた俺を乗せた車は昼頃には相変わらずなにもない田舎道を軽快に進んでいて、鼻歌混じりの母の独り言をBGMに、俺は揺られながら文字を追っていたせいで催した吐き気に緩やかな対抗をしていた。

「吐きそうだったら言えよ、シート汚したら掃除が面倒だから」
「吐きそう」
「もう少しだから頑張れ」

 自分が言ったくせに一向にスピードを緩めようとしないどころか加速している父に苛立ったものの、全

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【創作小説】誑し込むには十二分(2)「落ちる、堕とされる」

前作「死人に口なし」の続き。
⚠️死体

 目の前に、人間が落ちている。

 道端で寝こけている酔っ払いではない。こんな、街灯もまばら、近くに何もない田舎道で、そんなことをする奴は居ない。少なくとも俺は、今までに見たことがない。

 そもそもこれは、元々あったものではない――落ちてきた、のだろう。水風船が潰れるような音と共に。

 高い建物などあるはずがない。何度も通った道だ。そんなものができたら

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【創作小説】誑し込むには十二分(5)「かくしごと」

前作「同じこと」の続きです。

 果たして叔父は数コール後に電話を取った。いつも顔を合わせるときには、愛想笑いなのかどこか陰のある顔で笑っている彼から想像できないほど不機嫌な低い声で、俺は要件を伝えるのも忘れ、一瞬怯んでしまう。

「都会っ子は寝るのが遅いね、何時だと思ってるんだ。成人したからって夜更かしするもんじゃないよ」

 叔父は寝られるときはちゃんと寝なさいと恐ろしく真っ当なことを宣って、

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