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富山県は本当に「『寿司』と言えば富山」になれるか? vol.15(滑川その2)
東京の寿司屋は、あまりに高くなり過ぎた反動で、最近は高級店のカジュアル版や立ち飲みできる寿司屋が増えてきている。そのいっぽう、会員制や紹介制の寿司屋も出来ており、クラウドファンディングなどで開業時の費用を先取りしているところも多い。
富山で会員制、紹介制の寿司屋は私が知るところでは2軒だけ。一軒は富山市内にあり、もう一軒が今回、訪れることが出来た滑川市にある「小杉和み」である。滑川市は富山駅から20分ほど。前回「笹寿司」を訪れた場所でもある。
笹寿司はとてもいい寿司屋だったが、そのときにすでに紹介制の寿司屋が存在することは聞いていた。だが、その時点では伝手がまったくなく、ほうぼう聞きまわっていたら、ようやくその店を贔屓にしている人が見つかった。当初は私ひとりで訪れるつもりだったが、その方も来てくださり、ふたりで行くことになった。
前回の藤虎もそうだが、小杉和みは富山の寿司屋のなかではかなり異色なので、これまでのレポートをまずは参照していただきたい。
小杉和みは滑川ホタルイカミュージアムの近くにあった。前回訪れた藤虎もそうだったが、勝手に敷居が高い寿司屋だと思っていた。なので、かなり身構えていったのだが、店主の井黒和人さんはにこやかに迎えてくれた。きちんとした紹介者がいるということもあるだろうけど。
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小杉和みという名前は不思議だが、以前この場所に「小杉寿司」があり、現在の店主は10代半ばからそこで修業していたのだという。小杉寿司の大将が辞められたタイミングで、いまの店主が継ぎ、新しく内装も整えた。とはいえ、最近は懐かしいガラスケースに質のいい魚が並び、食欲をそそる。
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小杉寿司時代から顧客は全国におよび、有名人も多数来店していたという。いまの和みになってからもそうで、それは店主がコレと定めた魚しか扱わないから。そのあたりは、ずっと富山で魚を相手に商売していたから出来ることなんだろう。私が呑み寿司と呼んでいる、カジュアルな寿司屋が富山では多数派だと思うが、こういうしっかりと寿司に哲学のある店はもっと増えてくれると嬉しいと思っている。
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店主は修業が長いこともあって、富山の漁港には強いパイプを持っており、今年は白エビが不漁だとよく言われるが、小杉和みではキロ8000円という最高品質のものを仕入れている。
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旬の目利きはすばらしく、サクラマスの焼物、岩ガキは見事。
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また、美味しいものならば地産地消にはあえてこだわらないし、富山を代表するブランド牛である「池多牛」をたたきで出したり、真鯛の肝を煮物にするなど、変幻自在ながら、基本に忠実な料理ばかりだった。
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握りもこの時期の旬を堪能した。サクラマスから始まり、氷見の本マグロなど、どれも魚の質を店主が吟味して出しているのがわかる寿司だった。
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最初はちょっと身構えたが、とてもフランクな店で、「紹介制」としているのは、この店のポリシーを理解してくれる客と長く付き合いたいためであって、排他的な思いがあるわけではない。Instagramで告知しているが、ランチは予約を受け付けているし、今月(2024年7月)には東京に遠征してイベントで握るというから楽しみ。
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富山の寿司屋は掘れば掘るほど面白くなってくる。まだまだ続く、富山寿司の旅。
★小杉和み