ヒッポリト星人

とある町に、この国最強と言われている3兄弟がいた。

彼らは、ただ強いだけではなく、

心優しいという面においても最強だった。

誰にでも慕われていた。

町には大した産業もなく、町民は細々と農業で暮らしていたがそれでもみな幸せな生活を送っていた。

しかしある日、町の地下に金脈があることがわかった。

町民は根っからの農民で、そこでお金儲けをしようなんて考える人間は一人もいなかった。

しかし当然ながら、町を取り巻く状況は一変する。

知らない人間がひっきりなしにやってきては、その金を自分のものにしようとした。

しかし、ここにはあの三兄弟がいた。

どんな相手来ようともいとも簡単にやっつけてしまい、結局この金を奪うことができた悪党は一人も出てこなかった。

もちろん怪我した町民は皆無だった。

このまま平穏な日々が続くように思われたが・・・・。

ある日、町にひっぽりと現れたヒッポリト星人。

彼の目的はもちろん金脈。

当然街の財産である金をまもる3兄弟と、それを狙うヒッポリト星人の戦いになった。

誰もが彼ら3兄弟に勝利を疑わなかったが、なんということか、ヒッポリト星人は彼らを赤子をひねるかの如く簡単にやっつけてしまった。

それも一瞬である。

素人目にみて、そのパンチが効くのか?ってぐらいの猫パンチだったが、破壊力はすさまじく、3兄弟はペッチャンコに潰れてしまった。

結局平和だった町はヒッポリト星人に支配された。

そして誰もが、ヒッポリト星人の悪政に悩まされると思っていたのだが。

ヒッポリト星人は「We can change!」という合言葉のもと、金脈をうまく活用して、町をどんどん豊かにしていった。

今まで純朴であった町民だが、ヒッポリト星人のおかげで、毎日が酒池肉林。

結局酒におぼれる人間ばかりになり、グータラながら楽しい毎日をすごした。

国内の住みたいまちアンケートでも、常に上位に上がるほどの町に成長し、ヒッポリト星人は、いつしかヒッポリト様ヒッポリト様、と呼ばれるようになり、どちらかというと「ヒッポリト”聖人”」になった。

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